第7話
しかし、明かりがついて多少不気味さは薄らいだとはいえ、呪いの家だなんて言われている場所を一人で回るのは気が引けた。
それでも勇気を奮い起こし、扉を開けて部屋の外に出る。
屋敷は二階建てらしい。とりあえず、一階を回ってみることにした。なんとなく不安なので、トランクは持ったままだ。
応接間の入り口から見て右側には、ダイニングルームと厨房があった。
ダイニングルームは飾り気がなく、八人がけのテーブルに木製の椅子が並んでいるだけだった。テーブルクロスの上には埃がたくさん溜まっている。
厨房のほうに行くと、大きなかまどがまず目についた。木製のテーブルの上には、鍋や小型ナイフなどの調理器具と紙袋が三つ置いてある。
紙袋を開けてみると食材が入っていた。野菜や果物などすぐ傷んでしまいそうなものもあれば、黒パンのような日持ちしそうな食材も入っている。
そこにもメモ書きがあって、食材は監視係が来るときに追加で持ってくると書いてあった。
とりあえず食料はあるようなので安心する。私の調理経験は、リュシアン様にプレゼントしたくて、メイドにつきっきりで手伝ってもらいながらケーキを焼いたことくらいだ。
だからあの立派なかまどやナイフを使いこなせるとは思えないけれど、いざとなれば食材そのまま食べればいいのだし、問題ないだろう。
玄関から見て一階の右側は見終えたので、一旦応接間に戻って反対側の扉を開ける。
屋敷の左側には、書庫と洗濯室、それに倉庫があった。
書庫にはたくさんの本が入っている。数冊手に取ってみるが、難しくてあまり興味の湧くものはなかった。随分長く掃除されていないようで、棚から本を抜き取った途端埃が舞って咳込んでしまった。
窓を開けて換気しようかと思ったが、それより屋敷を早く探ってしまおうと、本を棚に戻してすぐに書庫を出た。
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