第6話

 屋敷の中へ戻り、心細い思いで奥へ進む。


 この屋敷に明かりはあるのだろうか。昼間だけれど屋敷全体が薄暗い。その上、窓の外には先ほどの鬱蒼とした庭が見えるので、余計に心細さを増幅させる。



 玄関ホールを抜け廊下を真っ直ぐ進むと、扉があった。おそるおそる開けると、そこは応接間のようだった。


 部屋の左端にはローテーブルと、大小三つのソファが置いてある。


 とても立派な部屋だったが、全体的に古ぼけて色はくすみ、何とも言えない侘しさを漂わせている。


 ローテーブルの上には封筒と箱が置いてあった。


 これが部下の方の言っていた手紙だろうかと手に取ると、私の名前が書かれている。


 開けて読んでみると、屋敷には一週間おきに監視係が来ること、部屋は好きな部屋を使っていいこと、食料は厨房にあるものを自分で調理して食べること、などが書かれていた。



 明かりのつけ方も記載されている。


 玄関ホールにあるプレートに封筒の中に入っている魔石をはめ込むと明かりがつくらしい。封筒の奥からはそれに使うと思われる黄色の魔石が出てきた。


 私は早速玄関ホールに戻り、手紙に書いてある通りプレートに魔石をはめ込んでみた。途端に明かりがともり、屋敷の中が明るくなる。


 少しだけほっとして、先ほどの部屋に戻った。



 手紙のそばに置いてあった箱のほうも手に取ってみる。開けると、そこには銀色の置き鏡が入っていた。一緒にメモ書きも入っている。


『こちらを必ず自室として使う部屋に置いてください』


 メモ書きにはこう書かれていた。


 理由はわからないが、それが王家からの指示なら従うまでだ。


 テーブルにあったものを確認し終えると、私はこわごわその部屋を出て、屋敷の中を探ってみることにした。


 これから一ヶ月ここで暮らすのだから、中がどうなっているのか確認しておかなければならない。

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