闘士

 全五階層から成る赤竜の塔には、各階に異なるMOBが配置されている。

 1階にはストーンゴーレム。

 2階にはそれに加え豚頭人オーク

 3階ではストーンゴーレムが消え、代わりに豚頭人オーク双頭の巨人エティン

 あたりまえではあるが、階が上がるごとにMOBの攻撃力が上がり、攻撃も多彩になっていく。

 当然のように戦いはより過酷なものになってゆくが、そこにストレスを感じる者は少ない。

 なによりこのあたりを適正レベルとする者からしたら、ここはフィールドでの狩りよりも遥かにスキル熟練度のあがりやすい、成長効率の高い場所なのだ。


 多くのものが3階までのMOBに対し「先生」という敬称をつけるのもその為である。


 ひとつひとつ、階上へと上がるたびに自身が強くなってゆくことを実感できる場所。

 初心者の為にあるような遺跡。


 その認識にやはり間違いはない。


 がらりと色を変える、4階以外は。





「てかさぁ、それ見ながらニヤニヤするのやめてほしいかなー? ちょっとキモチワルイよ?」


「あ? 別にニヤニヤなんかしてねぇし」


 カレルはリディスの言葉に反発するようにそうつぶやくとそっぽを向いた。


 3人は現在4階へと伸びる螺旋階段の半ばで休憩をとっていた。

 といっても今この場にいるのは二人だけ。

 サイファは以前との仕様変更の類がないか、4階の様子を覗きに行っているところである。


「ていうかそんなに気に入ったの? セスタスそれ


「おう。自分でも驚いてるぜ。剣の時は何かちげぇ感じ? だったのがよ。殴ってるとしっくりくるわ」


「うっとりしながら殴るのが気持ちいいとか、やっぱり気持ち悪うぅ」


 冷めた目で自分を見るリディスを意に介すことなくカレルは手にしたセスタスに目を向けた。


「でもよ、これ、もらっちまっていいのか? プレイヤーの所持品とかってよ、高けぇんじゃねぇの? てか、おれの為に用意してた?」


「なわけないでしょ。それ、サイファが昔つかってたやつだよ。まぁ、今じゃすっかりネタ装備だけど」


 リディスの言葉にカレルが眉を寄せた。


「あいつ、前は格闘家だったのか?」


「違う違う、まぁ初めて会った頃は格闘家志望だったけどね。途中からダガー二刀がかっこいいって、乗り換えたの」


「格闘家志望?」


「そ。聞いたことない? 『黒豹』って」


 カレルには聞き覚えの無い名前だった。

 もとより貴族の騎士志望である。格闘家や冒険者のことに詳しいわけもない。

 そんなカレルの表情にリディスは小さく笑うと話を続けた。


「あたしもよく覚えてないんだけど、とにかくその人がすっごい強かったんだって。今の剣聖とも互角だったって話だし」


「剣聖って、あれだろ? 一番強ぇっ言われてるやつ?」


「うんうん。でね、その黒豹に憧れて昔は肌も黒くしてたんだって。で、同じような装備もして、えっと、写真がまだどっかに──」


 そういいながらストレージに手を伸ばしたリディスの頭が、パンっと背後から軽くはたかれた。


 大げさに頭を押さえながら振り返る。

 目の前に話題の主が、腰に手を当てながら立っていた。


「そこ。人の昔の話でもりあがらない」


 リディスは少しバツ悪そうな顔をしながらサイファを見ると舌を出した。

 いつものことなのかサイファもひとつため息をつくと、カレルに目を向ける。


「カレル。ここからは独断で動くのは一切なしね。わかった?」


 サイファの言葉にカレルは眉を寄せた。


「なんでだよ」


「ここからの敵は少し毛色が違う。今までみたいに後ろから殴ってりゃいいってわけじゃない」


「へっ。その方が退屈しなくていいぜ」


 にやりと笑いながら答えるカレルにサイファは頭を抱えた。


 実際、1階からここ、3階までの戦いはカレル的には実に退屈なものであった。

 当然の様にサイファの影に隠れての戦いである。申し訳程度に殴る相手と機会を与えられるという展開に変わりはないものの、剣の時とは違い面白いように相手にダメージが入る。

 その事実は、カレルに自信をもたらし、ここまでの戦いに退屈という評価をあたえた。


「アンタがプレイヤーだったら一回死んできてもらうとこだけどね」


「NPCです。勘弁してください、サイファさん」


 思わずリディスが「やめてくれ」といわんばかりの表情を浮かべた。

 プレイヤーと違い蘇生魔法の効果のないNPCの場合、死はそのまま現世との決別を意味する。

 回復役であるリディスからすれば、それは御免こうむりたい事態である。


 二人の様子にカレルは首をひねった。


「そんなにやべぇトコなのか? 4階ってよ」


「見ればわかる。それとね。冒険者なら退屈だなんて言葉は口にしないほうがいい。緊張感を失った奴から死んでいくもんだからさ」


「緊張感ならばっちりだぜ。俺ぁいつでも緊張しっぱなしだからよ」


 たしなめられても軽口をたたくカレルの様子に、二人は顔を見合わせため息をついた。

 いたたまれずにカレルは口を尖らせる。


「なんだよ」


「…」


 無言でカレルを見る二人の視線は冷たい。

 やがてそのまま階上に目を向けると、サイファが一つ手をたたいた。


「さぁ、行こうかリディス。アホは放っとこう」

「イエス。マム」


「──おい、待てよ! 放置かよ! 突っ込めよ!」


 一瞥することすらなく、カレルを残し二人は階段をあがってゆく。

 あとに残されたカレルが顔を赤らめながら二人を追った。





 壁面にへばりついた螺旋階段をあがり、4階にたどり着く。

 先行した二人に続いて階段を登り切ったカレルを待っていたのは、亜人の咆哮でもなければガラガラと音をたてる石くれでもなかった。


 ──闇。


 ほんの数メートル。

 螺旋階段からもれる明かりに照らされた、そこまでのわずかな空間だけが、まるで切り取られた絵の様に色を持っている。


 カレルは闇の向こうの景色に目を凝らすが、何が見えるわけもない。とば口からほんの先までの様子が辛うじてわかる程度である。


 なぜこれほどまで影が濃いのかと,カレルは周囲に目を向けた。


 壁沿いに視線を動かしてみても鎧戸が閉まっているという感じではない。

 その枠から漏れる光すらない以上、そもそも明かりを取り入れるための設備自体がないのだろう。


 差し込む光がないのなら、屋内が闇に覆われるのは道理である。

 だが、ここまでの階層では、当たり前のように窓あり、そこから差し込む明かりのおかげで視界は確保されていた。

 実際、先日のダンジョンでは頻繁に使われていたリディスの照明魔法も、ここまでは出番は無かったはずだが、と、そこまで考えて初めてカレルは気が付いた。


 よくよく考えれば直径50メートルほどのホールである。

 壁面に設けられた窓のみで光量が足りるわけもない。照明魔法は常に使用されているのではないのかと。


 視線を上に向ける。


 そこにはまるで蛍のようにふわふわと漂ういくつもの小さな光があった。


 視線をリディスに向けるとカレルの行動から考えを察したのか、リディスは手のひらを左右にふると苦笑いを浮かべた。


「なんだ、ここ」


 あまりにも様子の違う光景ゆえか、ぼそりとつぶやくカレルの声に、先ほどまでの勢いはない。


「蜘蛛の巣」


 声の方向に目を向けることなく低いトーンでサイファが答える。

 おもわずカレルはたじろいだ。


「…蜘蛛?」


「下層からいい気になって上がってくると、大抵の人間がここでつまずく」


 サイファの声に混ざって、4階の奥。闇の中からチキチキという音が近づいてくる。

 サイファの目くばせにあわせ、カレルが構えをとる。同時に3人の体がバフの光に包まれた。


「予備知識なしでここに来たら、まぁ大抵は死ぬかな?」


「予備知識があってもよく死んでるけどねー」


 何かが近づいてくる。

 幾つもの先端の尖ったものが塔の石壁をたたいているような、連続するその硬い音の中で二人が紡ぐその言葉に、カレルはごくりと生唾を飲み込んだ。


「ともあれカレルは一旦待機」


 サイファが双剣を手に前に出た。

 声のトーンが下階とは違う。若干の緊張感が伝わってくる。


 音が、さらに近づく。


「ここの相手はタゲの固定が難しい。まずアタシが数を減らすからアンタはそのあと──でっ!」

 

 声と同時にギィンという金属音が鳴り響く。


 闇の中から突き出したそれを、サイファの左のダガーが受け止めていた。

 先端に湾曲した爪の様な矛先を持った黒い槍を。


 彼女の表情に変化はない。

 力加減を合わせるように少しずつ、その槍の本体を闇の中から引きずり出す。

 ギリギリと刃の鳴る音と共に闇の中らそれは姿を現した。


 だから蜘蛛の巣か。と、カレルは合点がいった。


 小学生の身の丈程もある胴体をもつ巨大な蜘蛛それがぬぅっと半身を明かりの下にさらす。

 赤く光る8つの目と、一本一本が2メートル近い脚。

 冒険者でもない限りそう見ることのないその異形にカレルが後ずさりをした。


 闇の向こうからはさらにチキチキという足音が迫る。


「いくよ」


 そうつぶやくとサイファをは受け止めていた槍のような脚を払いのけると、そのままの勢いで闇の中に蜘蛛ごと飛び込んだ。


 あとを追うようにリディスも前に出る。

 どうすべきかと躊躇するカレルの手を握ると、リディスもまたそのまま闇の中に飛び込んだ。


「──っ!」


 闇の中に入ると同時に抵抗を感じる。

 まるで闇自体に質量があるとでもいうのか、入ると同時にカレルは反射的に瞼を固く閉じた。


 ああ、そうかとカレルは思った。


 水の中に顔を突っ込んだような感覚。これはまさにそれだ、と。


 やがてリディスの足が止まり、強く握られていた手が離れる。

 ゆっくりと、カレルは目を開いた。


 薄闇の中、サイファが無数の蜘蛛を切り伏せているのだろうシルエットがぼんやりと見える。

 外から見た時ほどの暗さは感じないものの、視界はひどく悪い。

 いくら目を凝らしてみても、やはりサイファの姿は曇りガラスの向こうの景色のようにしか見ることができない。


 ふと自分の手に目を向けてみる。

 次に隣に立つリディスに。

 更にその向こうへ。


 離れるほどに黒く霞み、形が失われてゆく。


 体はひどく重い。

 最初に感じた質量は今も体にまとわりついたまま、何をするにも抵抗を感じる。

 それこそ水中にでもいるかのように。


「やなかんじでしょ? この黒い霧。体は重くなるし視界は悪いし」


「霧なのか? これ」


「一応ね。だから照明魔法も効果なし。そこの窓の光とおんなじで、霧に遮られちゃう」


 窓といわれ、彼女の指し示す方向に目を向けると、そこにうすぼんやりとした光の塊がが見えた。


「何だってこんなのがあんだよ?」


「言ったでしょう? ここは蜘蛛の巣だって」


 そういうとリディスは、今もうごめいている幾つかの影を指さした。


「あの蜘蛛はミストスパイダーっていってね。この黒い霧はあの蜘蛛の糸みたいなもの。あたしたちはその巣の中で戦ってるのよ?」


「糸って、吸って平気なのかよ!?」


「ほんとに糸ってわけじゃないから大丈夫。遅効性の麻痺毒ってだけで」


「──どっ!」


 毒と聞いて思わずカレルは自身の口を手で押さえた。

 反射的な行動ではあるのだろうが、その様子に今更そんなことしてもねぇ。と、リディスは苦笑いを浮かべ、小さく手を振り言葉をつづけた。


「平気だって。あたしがいるんだから。さっきのバフの中に状態異常抵抗も入ってるから、こんな低レベルダンジョンの毒なんて意味ないわ」


 そういわれ口から手を離すとカレルは「脅かすなよ」と小さくつぶやいた。


「ここはね、初心者に準備の必要性を教える場所なの。だからなーんの準備もしない脳筋さんだと簡単に毒だの速度低下だのにやられて蜘蛛の餌にされちゃう」


 カレルの頭の中にまさに自分がその目にあっているイメージが浮かんだ。

 もしも二人がともにいない状態で自分がこの塔に挑んだのなら、まさにその通りになっいただろうと。


「それとね。あの蜘蛛結構早いのよ、動きが。下の階のゆっくりしたゴーレムのつもりでここに来たらホント、毒と合わせてパニックよ、パニック」


 ケラケラと笑いながら話すリディスの動きが一瞬止まる。と、ふいにサイファの方に目を向けた。


 さっきまでいくつもあった蜘蛛の姿らしきシルエットがほとんど見えない。サイファの青い影と、あとは一つ、黒い影があるだけだ。

 青い影がその場から離れ、自分たちの方向に向かってくる。

 それにあわせリディスが手にした杖を小さく振ると、サイファを追いかけるように移動してくる黒い影が一瞬ぼんやりと光った。


 やがてサイファの姿がぼんやりとしたシルエットから人の形へと姿を変える。一方の黒い影はさっき光った場所で静止したままだ。


「おつかれ」


 戻ってきたサイファにそう声をかけると、リディスは再度三人にバフをかけた。

 強化用のものではない。奥で静止したままの蜘蛛から自分たちの存在を消すための隠蔽ハイド魔法である。


「さて、んじゃぁカレル。行ってみようか」


 一息つくとサイファはカレルの肩をポンとたたいた。

 カレルの表情が真剣なものに変わる。


「敵の蜘蛛は1体のみ。10分後にまた別の蜘蛛が発生する。だからアンタは10分以内にあの蜘蛛を倒さなきゃいけない。複数相手にする自信があるなら構わないけどね」


 動かない影に視線を向けながらのサイファの言葉にカレルが頷く。


「下の階層だったらアタシにタゲ固定させて後ろから殴ってってのもできたけど、ここじゃ無理。あの蜘蛛はコロコロ目標を変えるからね。乱戦を避けたのもその為さ」


 ふっと、サイファの口元に笑みが浮かぶ。

 吸い込まれるようにそこに向かおうとする自身の視線を、カレルは無理やり抑えつけた。


「下の階じゃなくて、修行場所をここにした理由は一つ。ここの蜘蛛は動きが速いし手数も多い。それとやりあってれば嫌でもアンタにはそれに対応するだけの力がつく。闘士だの格闘家だのに向かうなら、ここの蜘蛛は丁度いい」


 カレルが手にしたセスタスに力を籠める。


「ここに来るまでにアンタの力はそれなりに上がってるし、リディスの高位バフもある。こいつら下の連中に比べれば耐久力も低いから、一対一なら負けることはないと思う。──たぶん」


 リディスがプッと吹き出し、カレルが不服そうな顔をする。


「意識しな。速度を。回避を。霧の重さは自身を成長させるための糧だと思いな。アンタにその素養があるならアンタはここで強くなれる。ダメなら諦めな。戦士も。闘士もアンタにゃ向いてなかったってことさ」


 カレルが一瞬目を閉じた。

 脳裏に浮かぶのは冒険者としての自分か、それとも──。


「起きるよ」


 リディスが呟く。


 同時に黒い影が動き、サイファがカレルの肩をたたいた。


 弾かれたようにカレルは走り出す。

 霧の重さをものともせず、黒い影に向かって。





「そうですか。剣の道は諦めましたか」


 冒険者ギルド、ヘイブン支所の一室。

 前回の所長室とは異なる応接室のソファーに深く座り、サイファから受け取った報告書を手に少し残念そうな顔でそう呟くと、ホーエン家の執事であるウォルターは肩を落とした。


 今日は所長のサイラスの同席は無い。

 部屋にいるのはウォルターとサイファの二人だけである。


 呟くウォルターの芝居じみた動きに、サイファは肩をすくめると目の前に置かれたコーヒーに口をつけた。


『想定ていたことなのでは?』


 そう聞きたいのは山々だが、それを口にすることは無い。

 リディスであれば平然と呟くのだろうが、彼女はいまごろ宿で寝転がっているはずである。

 依頼さえ終われば途切れる関係なのだ。自分に直接火の粉かかかるような事情でもない限り、依頼主の真意など冒険者である彼女にはどうでもいいことであった。


「現状でヤングHクラスからは卒業。初心者Gクラスレベルだと思います。ギルドでの試験を受けていないので実際にクラスが上がったわけではありませんが、あと一週間もあれば新人Fクラス。ノービスまで上がれると思います」


 落ち着いた雰囲気で話すサイファの姿に、ダンジョンで見せる戦士としての粗野な印象はない。

 はた目には美しい、凛とした顔立ちの少女である。

 もしもこの場にカレルが居たら「だまされるな!」と言いながら頬を赤らめるのかもしれないが。


 サイファの見立てにウォルターはしばし腕を組み、何事か考えるような仕草をすると小さく頷いた。


「わかりました。ではまた明日の報告をお待ちしております。──と、そうそう、一つお聞きしたいことが」


 定時報告を終え、席を立とうとするサイファをウォルターが呼び止めた。

 その目はサイファを見てはいない。

 提出された報告書に向けられたままである。


「修練は変わらず赤竜の塔でしょうか?」


「その予定です。仕上げに最上階のボス戦で証をとって戻るつもりですので。それが何か?」


 想定していなかった質問にサイファが眉を寄せる。

 その内容は報告書にも記載してあるはずだが、と。


「いえ、念のための確認です。お疲れさまでした」


 興味もないことなのか、ウォルターはちらりとサイファ視線を向けると、再び報告書に目を向けた。


 今の質問の意味を図りかねているのか、サイファは一瞬怪訝な表情を浮かべるが、視線をこちらに向けることのないウォルターにそれを確認することもできず、一礼するとドアを閉じた。


 パタパタと遠ざかってゆく足音。

 その音と遠ざかる彼女の気配を確認すると、ウォルターは手にした報告書を乱雑にテーブルの上に投げ捨てた。


 ひとつ、息を吐く。


「いかがですか? マスター」


 彼の座るソファーの対面に誰かがいるわけでもない。

 この部屋には彼しかいないのだ。

 だが──


「アレがおまえの言っていた女か?」


 錆を含んだ声が返ってくる。

 それは若い声にも、年老いた声にも聞こえた。


「はい。ご相談したもう一人の方は同席しておりませんでしたが」


「問題ない。客も気に入ったようだしよ」


 それはいつの間にか。ウォルターの背後に存在った。

 赤いローブを身にまとった長身の影。

 目深にかぶったローブのせいでその表情をうかがい知ることはできない。


「あとはおまえの言ってたもう一人。そいつがだったらなお良いんだがな」


 ウォルターがその声に振り向く。


 男がゆっくりと、フードをあげる。

 くすんだ金髪に浅黒い肌。どこか人を不安にさせる、冷たい目がそこにあった。


「ま、違っていたとしてもニーズはある」


 口元がわずかに歪む。


 それはいつかリディスが見たウォルターの笑みによく似ていた。

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