第27話ごぶ

「お前はレベルが一だったが、今は八だ。この村のゴブリンの平均は3で一番強いのが6だから、今はお前が一番レベルが高い」

「でも、レベルと能力が同じとは限らないでしょ」

 確かにそうかもしれない。レベルが上がった時の能力の上がりも人それぞれだから、いくらレベルが高くてもほかのゴブリンのレベル2ぐらいかもしれないというのはない話ではない。

 だが、俺の創作スキルでシクラメンの能力を底上げすることを一瞬考えたのだが、それは俺のポリシーに反していた。現時点で。

 俺はエゴイストである。とりあえずは自分が文句なしに無敵になってからじゃないと、不安でしょうがないのである。エゴイストというより不安症かもしれない。人にスキルを上げて、自分より強くなったらとか考えたら不安感が半端ないのである。

 とりあえず、装備だけ強化してあげるか。

 俺はシクラメンに町で買ったらそこそこ値がする人間用の装備品の数々をゴブリン向けに改良して装備させた。

「すごいわ」

 これで準備は整った。

「さあ、この村を壊滅させるとしよう」

「でもあまり乗り気じゃないわ」

 どこまでも心優しきシクラメン。

「じゃあ、このまま旅立つか」

「それがいいわ」

「もし、攻めてきたらその時は滅ぼすぞ」

「ええ、構わないわ」

 こうして俺とシクラメンはゴブリンの集落から抜け出した。

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童話 日本語破綻者 @mojiuchisyuukann

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