第26話ごぶ
俺は自分のユートピア計画をやさしきメスゴブリンに話した。
「素晴らしいわ」
雌ゴブリンは目を輝かせていった。
「お前も俺と一緒に来るか」
「ええ、来るわ」
この雌ゴブリンとは恋ゴブにはならなかったが、それでも同じ志の生き物がこの世界で初めて出来て俺はとても嬉しかった。
「でも、私そろそろ殺されるかも」
雌ゴブリンは言った。
「俺が守るよ」
「嬉しい」
「いや、同志としてだけどな」
「それでも良いわ」
雌ゴブリンは名前はまだなかった。というかゴブリン自体固有の名前を持っていないことが多いらしい。
「俺が名前をつけよう」
「嬉しい」
「シクラメンでどうかな」
俺は適当な名前を付けた。
「美しい名前ね」
雌ゴブリンの名前はシクラメンに決まった。
モンスターもレベルが上がることが知性スキルでわかっていたので、俺はシクラメンのレベルを上げることにした。
「モンスター狩りに行くぞ」
「わかったわ」
「そういえば、お前は人間を狩ったことはあるのか?」
「ないわ。私むしろ人間好きだもの。それを悟られたら殺されてしまうから隠していたけどね。だから人間を狩る時はおなか痛いとか、風邪を引いたとか嘘ついて人間狩りにはいかなかったの」
「えらいな。シクラメンは」
俺が褒めるとシクラメンが笑った。それはまるで本当にシクラメンが咲いたかのような笑顔だった。シクラメンの花知らんけど。
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