第8話二日目。

 作業二日目の朝、男は朝日で目覚めた。持って来たコーヒー豆を開ける。

 しまった、豆のままだった、と男は思った。しかし豆のままの方が保存がきくので、まあいいか、と男は思った。もちろん生豆ではなく、煎ってあるコーヒー豆である。

 近場で平らな大きな石を探した。

「あった」

 男はそれを開拓する土地のど真ん中に置いた。

「何かの儀式のようだ」とか言いながら、手に収まる石でコーヒー豆を砕いていく。

「超粗挽きコーヒーが出来そうだぜ」

 布のフィルターを持ってきているので、それに砕いた豆を入れて汲んできた湧水を上から垂らす。水出しコーヒーである。

「うん。美味い。温かいに越したことはないが、手間がかかるし、なるべく火を使わないで節約だ」

 荷物は山盛りあるが、少しでもの節約精神である。

 コップもプラスチックで割れ物は持ってきていない。

 今日は昨日の穴掘りの続きである。熊が侵入してこないように。

 ようやく、深さ一メートルぐらい掘る事が出来たがこのままでは一年あっても全然足りない。男は神様に祈った。寿命が延びますように、と。すると光が目の前を塞いだ。

「私は女神です」

 突然の出来事だった。

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