第2話故郷にもどる

母が子宮がんになった。ステージ3。

当然、がん治療にはお金がかかる。夫婦共働きではないと、大学で学べる学費が出ない。

僕は迷っていた。

退学するかどうか。この時代は就職超氷河期であり、大卒でも仕事が少ない時代。

僕は、家庭の経済状況を見て自主退学した。

鹿児島市内に引っ越しして、とりあえず警備員のアルバイトを始めた。

月20万円貰えた。

朝から夜中まで、仕事をした。

警備会社の社長が、正社員にならないか?と言ってきたが、僕は警察官を目指していたので、断った。

そうこうしている内に、母が退院しがん治療をしながら、仕事に復帰した。

「母ちゃんのせいで、ごめんね」

と、言っていたが勉強は大学だけではなく、どこでも出来る。

「気にしないで」

と、答えた。


1年後、重度身体障がい者施設の職員になった。

僕は福祉の勉強はしたことはない。

警察官を諦めて、介護職員になった。オムツ交換は最初、とてもキツかった。

慣れれば問題無いが。

ここで、僕は初めて社会人としての厳しさ、楽しさを学んだ。

一年後には、後輩が出来てよく飲み会を開いた。後輩には先輩が奢るものと、持論がありよく5、6人で飲んでいた。

早出が6時半からの仕事で、6時まで飲んでいたりした。

実家には、しょっちゅう帰った。

年末年始は実家で過ごした。

これは、昔からの風習で『2日風呂』と、言う事をしていた。元旦に風呂に入らない。福を洗い流してしまうからだ。だが、1月2日の早朝に風呂に入るのだ。

こうして、19歳から21歳まで鹿児島で過ごしたが、この年の12月、僕はある決意をする。

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