田舎者語り

羽弦トリス

第1話1人で初めて飛行機に乗って

僕は九州のド田舎、鹿児島県の北薩ほくさつ地方で生まれ育った。

県境に実家はあり、車にて20分で宮崎県、30分で熊本県に行ける山間部である。

18年間山で遊び、川内川せんだいがわで、魚釣りをしていた。

僕は高校を卒業後、鹿児島県内の大学に進学する予定であったが、当時は鹿児島県を出たい思いが強く、東京の大学を受験して合格し、そのまま進学した。

まず、受験の時1人で、鹿児島空港から羽田空港まで初めて飛行機に乗った。

怖かった。

今でも、飛行機は怖いのでレンタカーを借りない際は、空港で飲んでから搭乗する。

ある大学の建物まで、千葉の親戚の力を借りて、電車を乗り継いで受験の下見に行った。

僕は山と川、田んぼと畑しか知らないので、東京のビルや人の多さに、カルチャーショックを受けた。


受験が終わると、親戚が集まり夕御飯をご馳走してもらい、家に泊まった。

無事に事を済ませると、アパート探し。

東京は家賃が高い。だから、何故か埼玉の東松山のレオパレスに決めた。

近くに、川と畑、森があったからだ。

入学式が終わると、夕方から雪が降った。

4月1日なのに。

今から、25年前の話である。勇気があるなぁ~と、他人事の様に当時の自分を振り返る。

だが、駅でみんな急ぎ足で歩いている。

こんな、街に僕は嫌気が差した。

3ヶ月後には、ホームシックになってしまった。

高田馬場でパチンコ必勝ガイドの看板に感激して、近くのパチ屋に行くとビギナーズラックで8万円勝った記憶がある。

もう、20年以上昔の話しだから様変わりしていると思う。

これをきっかけに、30歳で結婚するまで12年間独り暮らしを続けた。

卒業後は然るべき場所で、働く夢を抱いていたが、あることで挫折する羽目になる。

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