第6話 亡き季節の為のレクイエム

_____黒幕がついに姿を現した。


 「ボクたちは……エスターテとヘルプストの為に……闘う!」


 「妾もじゃ……!」


 そう言い、二人は変身をした。


 「ああ、あーあ。二人仲良く死にたいんだぁ〜。」


 相も変わらずシスターエスタシオンは狂気を孕んだ笑みを浮かべている。


 「アズール、白幕幻想。」

 「我も手伝う、ぞ。」


_____


 そう言うとスメラギは魔法の剣を出し、構える。


 「お前だけは許さない!」


 「ふぅん?君なんてかるーく捻り潰す事ができるけど?」


 そう言い、再び蝋台を構える。


 『ガギィィィイン!』


 静かなチャペルに、金属がぶつかり合う音が轟く。


 「……隙ありダヨォ……!」


 そう言い、アズールは上級魔法を唱えまるで手裏剣のような鋭い桜吹雪を舞わせる。


 「ふーん。で?」

 「はい、エルダ。」


 そうシスターエスタシオンが言うと、魔法の剣も桜吹雪を幻覚のように消えてしまった。


 「なんで……なんでナノォ……。」


 「くっ……歯が全く立たない……。」


 「次は妾!」


 そういった白幕幻想は、鋭い氷柱をシスターエスタシオンに向ける。


 「はい、エルダ。」


 シスターエスタシオンが再びこう唱えると、やはり魔法は解けてしまう。


_____


 ……と言っただけで攻撃すらできなくなってしまう。

 私たちはどうしたらいいのか。

 全く検討がつかない。


 「あずうる殿、例の呪文って……」


 「そうダヨォ、本来ボクたちファルスソルシエールが壊れた建物などを復活させるための」

 「って感じダヨォ。」


_____


 リカバリー魔法。

 モノトーンと戦った際、二次災害で壊れたものを修復する魔法だ。

 それを悪用しているのが、今のシスターエスタシオンだ。


_____


 「……ふむ。」

 「リカバリーされない魔法なら大丈夫なようだが……。」


 「そういうのがあればネェ……。」

 「ボクたちも苦戦しないんだけど、ネ。」


 スメラギとアズールが話し合っていた時。


 『グチャッ!』

 『ズルズル……』


_____


 「……え」

 「まさ……か……。」


 そこには、突如刺殺されたスメラギの姿が。


 「だぁかぁらぁ」

 「抗わずに四季魔法力だけくれたら命だけは助けるって言ったのにね〜」

 「おバカさん。」


 「シスターエスタシオン……」

 「否」

 「邪神エスタシオン!」


 そうキレたのはアズール。

 持ち前のテクニックで蝋台を奪い、エスタシオンに刺そうとする。


 「魔法が消えてしまうんなら」

 「闘ってやるヨォ……!」


 「ふぅん?もう何もかも手遅れだけど、ね?」


 アズールは、まだ救える命があること、エスターテとヘルプスト、そしてスメラギの弔いのためにも本格的に彼女を倒そう、その決意に満たされている。


 そして、白幕幻想も純正の刀を手に取り、本格的に戦う気でいる。


_____神、魔法、弔い。何が残って何が消える?

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