第4話 人を恐るる者は必ず人にへつらうものなり ‐福澤諭吉‐
「魔獣……と言うよりは、
「でもここって防壁の中よね?元
少女は視線を逸らさず、距離を詰めていく。左手にはデバイスから伸びる
対する
「どんなトリックを使って、魔術防壁の中にいるのかは分からないけど、アンタが悪さをしてるなら、ここで討伐させて貰うわ!」
しゃッ
「クケッ」
少女は一気に間合いを詰めると、廊下の角にいる
だが繰り出された刃が
「逃がしたか……。でもこれで旅館の中から変な気配は消えたわね」
どぉん
「ルミネ?!外で何か?ええぃ、このままじゃ旅館に被害が出ちゃうッ」
「
少女は旅館全体に結界を施していった。少女の結界発動と共に旅館全体をスクエア型の結界が包み込んでいく。これである程度は戦闘の余波を防いでくれると判断した少女は、
まぁ調べたくても「魔界」に行く事が出来ず、詳しい調査が出来ないので憶測でしかないが、それは仕方の無いコトだと言える。
昔は頻繁に起こっていた
何故、最近になって
そしてこれもまた、「3.15の
だから、魔獣としての分類に入れられたのかもしれない。
然しながら種族的には
「ッ?!なんてことッ」
「クケケ」
「ククケ」
「ケケケ」
「これだけの量に囲まれていたなんて……でもどうやら
ルミネは珍しく嫌悪感を
ルミネを取り囲んでいる
その光景がルミネにとっては、より一層腹立たしくしていたと言える。
ルミネを囲んでいる大小様々な大きさの
火、水、土、氷、風といった、基本属性だけでなく上位属性の魔術も含めてルミネの全方位から放たれていく。
どどどどどどどぉん
「
一斉に放たれた魔術はルミネに襲来したが、当たる直前にルミネの魔術防壁に拠って爆散した。
しかし、辺りには土煙が充満して行った事から視界は限り無くゼロになったのである。
「さぁ、逝きなさいッ!」
バリバリバリバリッ
ルミネは自身の周囲に展開していた
ルミネから放たれた「
拠って、例え視界がゼロでも不利に働くワケではなかったと言える。
鎖に捕らわれ雷撃を受けるモノ。鎖に打ち付けられ粉々に散っていくモノ。鎖に
縦横無尽に奔る「
「だいぶ減ってくれたようですわね」
「
シャシャシャッ
「ルミネ、無事?」
「えぇ、ナイスタイミングですわ。ところで、コイツらは
「えぇ、恐らくね。何で、こんなに湧いてるのかは分からないけど」
「アルレさまから見てもコイツらが
ざっざっざッ
「ククケ」
「ククク」
「ケクク」
ルミネは窮地ではなかったが、旅館から出て来た少女は援護射撃で光の魔術を放っていた。そして、最初に囲んでいた魔獣は粗方一掃出来たワケだが、周囲には更なる援軍が近寄って来ていたのだった。
「ざっと50体くらいに増えましたわね……はぁ」
「どうしよっか?」
「でもここって、防壁の中ですわよね?」
ルミネが放ったこの言葉は特にルミネに何かしらの意図があったワケでは無い。
だが少女はその言葉から、当初覚えた違和感を思い出さずにはいられなかった。
「そうね、それよッ!」
ざしゅッ
「どれですの?」
ぼふんッ
「ここは、防壁の中なんだから、コイツらは外から湧いて
しゅばんッ
少女とルミネは迫り来る
2人の実力があれば、この程度の魔獣に遅れを取るような事も考えられないし、数の暴力が暴力にならない事も当たり前なのだ。
だが、その数は減るよりむしろ、時間を追うごとに増えていると言っても過言ではない。
「まぁ、そう考えるのが妥当ですわね。でも、倒しても倒してもキリがありませんわ。所詮は
ばばばばばッ
ルミネは範囲魔術を展開し、
まぁ、ルミネ自体が
「じゃあ、こっちも仲間を増やしましょッ!」
「はい?」
「デバイスオン、
「えっ?
少女は自分の
流石にルミネもこれには驚きを隠せなかったと言える。
「アナタ達、
グルルルォ
ウガァァァァッ
ワオォォォォォォッ
少女の援軍は
ヴァナルガンドはその牙と爪で刻んでいく。オルムガンドは長い身体を使って獲物に巻き付き
少女が呼び出した
ただしガルムだけはその場合不利になるので、それを見越して少女はガルムを戦闘に参加させずにいた。
しかしながらそれほどの魔獣を、
「さて、アナタ達は
がうがうッ
がるるッ
こうしてガルム達は方々へと散っていった。ガルムの嗅覚を持ってすれば立ちどころに起点は見付けられるだろう。戦闘班と探索班に分かれた
斯くして少女が呼び出した「援軍」に拠って旅館の庭は、さながら怪獣大決戦の舞台と成り代わっていったのだった。
旅館の
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