受付・8

どうして──どうして──あたしは、すきなのに──どうして──おねえちゃん


「ストーップ!!!」


その声が大きく響くと、『ズルい!』と「どうして」か重なったこだまは余韻を微かに残して消えていった。

「お客様の負担を減らす『波長合わせ』ができたのは上出来だな!あとはオレが引き継ぐから!」

ぽぅん!と可愛い破裂音と一緒に花やキラキラした紙吹雪が宙に散り、恐る恐る目を開けた七海が目線を上げると、空中に「つばさ」と名乗った男の子が浮いている。

ただ、その姿はさっき・・・よりもずっと幼く、七海とあまり変わらないぐらいの身長だった。


それは何かがおかしく──けれど、何もおかしくない。


だから『つばさ』が手を伸ばしても、何も躊躇わずに七海も手を出して繋ぐ。

それから、当たり前のように。


ふわりと浮かんで。


「さあ!旅立とう!」


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