今日はカツアゲに困っている
今日は日曜日。学校は休みだ。
松森くんにもう2日間も会っていない。
寂しいよぉ。松森くんに会いたいよぉ。
寂しさを紛らわすため、外の風にあたりにいく。
街は人で溢れかえっている。親子もいれば、カップルもいる。私もいつか、あんなふうに松森くんのとなりを歩けるのかな。
やばい、私の一人ぼっち感が際立ってしまっている。やはり、松森くんに会えない日は心が沈む。センチメンタル坂下ちゃんに変身してしまうよ。
しばらく、街をブラブラしていると。
なんと、松森くんを見つけた!
やっぱり、わたしたちは運命の赤い糸で結ばているんだね!
彼に声をかけようとしたとき、私はある異変に気づく。
松森くんの周りにいかつい男たちが群がっている。
そして、松森くんがとても怯えた顔で震えているのだ。
なんと、松森くんはヤンキーにカツアゲされている。
許せない!私が助けてあげる!
なんてたって、私は魔法使い!私にできないことはない!
今回の作戦は………。
警察のコスチュームをして、ヤンキー共を取り締まろう作戦!
そう、ヤンキーは警察を怖がっている。昨日、ドラマで見たからヤンキーの弱点は把握済みなのだ!
でも、いま警察のコスチュームなどもっていない……。
ところがどっこい、
私には魔法がある!魔法にできないことはないのだ。
☆★☆★☆★
「君たち、そこで何してるの!!」
警察の格好をした私が、カツアゲ現場に登場!さぁ、ヤンキー共、恐れおののきなさい!
「はぁ、なんだお前」
「もしかして、この男の彼氏?」
「けっこう、かわいい子だね。コスプレ好きなの?ねぇ」
「かわいい、かわいい。俺らと遊ばね」
ヤンキー共の目が私に集まる。
あれちょっと、考えていたのと違う……。
「ちょっと、こっちに来てよ!」
腕を引っ張られた。痛い、怖い。
人間の男怖い………。
「………や、やめてください………」
声が出ない。息ができない。
とにかく、怖い。
「声小さくて、聞こえないなぁ。ん?」
ヤンキー共が調子に乗り出す。
私の体をやらしく触ってくる。
私は泣きそうな声で、震える。
あぁ、昔を思い出す………。
「やめろ!坂下さんにさわるな!」
松森くんが、ヤンキー共に体当たりをする。
でも、ヤンキー共はビクともしない。
「弱いくせにカッコつけるなよ!!」
ヤンキーに蹴られ、松森くんが地面に倒れる。
「松森くんっ!」
私は彼の名前を叫ぶ!
そのとき、私の中の魔力が松森くんに力を与える。
「うぉぉぉぉぉ!」
松森くんが立ち上がり、ヤンキー共に立ち向かう。
もう一回、体当たり。ヤンキー共が吹き飛ぶ。
「松森さん、俺が君を一生守るからっ!」
「は、はい、守ってください!」
★☆★☆★☆★
という、妄想をしていたら松森くんの財布がヤンキー共の手の内に!
松森くんのお財布の中身は私が守る!
魔法で財布を私の元へとワープさせる。
財布が私の手の中に、
ついでにヤンキーのリーダーみたいなやつもワープさせてしまった!
大変だ!どうしよう、ヤンキーはいらない!
「なんだ、なんだ、ここはどこだ。てか、なんで目の前に女がいるんだ」
ヤンキーが戸惑う。
私はあたふたする。えっとこういうときは、昨日見たヤンキードラマを参考にして……。
「てめぇ、私の縄張りの財布に手ぇ出したらどうなるかわかってるんだよなぁ、命賭けろよぉ!!」
そう叫んだあと、ヤンキーを魔法で元いた場所まで吹き飛ばす。
財布はワープで松森くんの元に。
★☆★☆★☆
「なんだ、なんだ。なんで俺の財布が俺の手の上に乗っているんだ?」
松森くんは頭にハテナを浮かべながら、首をかしげる。
「うっ、うぅぅぅぅ。お前ら逃げろ……。この街には財布専門の女ヤンキーがいる……」
「リ、リーダーぁぁぁぁ」
その後、ヤンキー界隈である噂が流れた。
この街には財布の守護神がいると………。
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