魔法使いは恋してる
一宮ちゃん!
今日はテストで困っている。
今日は中間テスト。
私は優秀だから、簡単に平均点をとることができるのだが。
私の大好きな彼。
松森くんは、勉強が超がつくほど苦手だ。
今日も朝から彼は、冷や汗ダラダラ垂らして念仏を唱えている。
松森くんの汗舐めたいな、なんてっ!
私は松森くんのそんなバカなところも大好きです。可愛くて、放っておけないところが好き。抱きしめたいほど、好き。
いつか、つ、つ、付き合えたらな、なんて!
って、そんなこと考えていたらいつの間にか、数学のテストの時間だ。
松森くんが諦めの顔をしている。
もうっ、しょうがないなぁ。
私が助けてあげるよ!
まず紙を用意します。※あらかじめ机の中に忍ばせてあった紙です。
その紙に問題の答えを書きます。
そして、紙を折って紙飛行機をつくり、彼の席に飛ばす作戦であります!
でも、紙飛行機というものは必ずしも、狙った相手のところに飛んでくれるものではありません。
ところがどっこい!
私は魔法使い!なんたって、魔法使い!
私の風魔法で、松森空港に愛のカンニングペーパーをフライトさせますよ!
よし、狙いを定めて、いざテイクオフ!
「おい、坂下。テスト中に何をしているんだ?」
そのとき、私の前に先生が現れた。
先生の低音怖わ怖わボイスによって、私は半分泣きそうだ。
でも、負けない。私の愛はそんな簡単に打ち破ることはできない!
「せ、せ、先生、これは違います。そ、そう、これは問題1の光の速さで東京まで移動したらどのくらいの時間がかかりますかという問題を実際に実験してみようと思ひまひて……。」
「そうか、わかった。坂下、お前の成績が光の速さで下がっているのはわかったよ」
「ち、違います!これはあくまで実験でして、決して悪ふざけではないのです。先生は間違った判断で、いま生徒の成績を下げているのでふ」
私がそう言った途端、先生はぷるぷると震えだした。まるで噴火寸前の火山のように。
「……坂下ぁぁぁ!廊下で反省していなさい!!」
「ひゃ、ひゃい!ごめんなさぁぁい」
私は先生に怒鳴られ、廊下に追いやられた。
このままでは、松森くんが0点男になってしまう!
それだけは阻止しなければ!
そうだ!松森くんにテレパシーの魔法で答えを教えてあげよう!
なんだ、最初からこうしておけばよかったじゃないか。
もう、私のバカっ!
よしさっそく、テレパシーを送るぞ!
★☆★☆★☆
『松森くん、松森くん。聞こえますか。私は松森くんにテストの答えを教えるために、いま喋りかけています』
「えっ、だ、誰?」
『私は神です』
「神さま………」
『いまから問題1から答えを教えます。なので、1番から問題を頭の中で読み上げてもらってもいいですか?』
「わかりました。やってみます、神様…………………。」
『………。すいません、もう少しゆっくり読み上げてもらってもいいですか?』
「わかりました。やってみます」
『…………。うーん。もう少しゆっくりお願いします』
「こ、これ以上は難しいです。頭で読み上げるのがこんなに難しいこととは思いませんでした」
『わかりました。ではこうしましょう。声にあげて問題を読んでください。天に聞こえるように大声で問題文を読み上げてください』
「わかりました!やってみます!」
☆★☆★☆★☆
「問題1.光の速さで東京まで移動したら、どのくらいの時間がかかりますか!!!」
静かな教室に響き渡る、松森くんの声。
そして、松森くんの前にも先生が現れる。
「おい、松森。今のはどういう意味だ」
「光の速さで東京まで移動するという意味です!」
「俺が聞いているのは、そのことじゃなくて。なぜ急に大声を出したんだ?」
「神さまがそうしろと言ったからですっ!」
また先生がぷるぷると震えだす。
火山噴火、2回目。
「このバカ野郎ぉぉ!そんなにテストを受けたくないのか!廊下で反省してろぉぉ!」
★☆★☆★☆
「坂下さん、俺も廊下に追い出されちゃった。でも、坂下さんと一緒なら寂しくないな」
「う、うん!」
まぁ、結果オーライかな?
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