第42話

 同じ時刻、オフィスで愛妻弁当をつついていた宮城春義は、そばで電話を受けた部下に呼ばれて箸を止めた。


「宮城さん、2番にお電話です」


 部下が茶化すように続ける。


「女性からですよ。お安くないですねぇ」


「何言ってんだ、馬鹿!」


 宮城は彼の頭を軽く小突いて受話器を取った。


「お電話代わりました。宮城ですが」


「お知らせしたいことがあります」


 落ち着いた感じの若そうな女性の声だった。


「氷室修兵が、室尾組の組長を狙っています」


「ちょっと!」と、宮城は眉をひそめて厳しい声を出した。


「あんた名前は?」


 すでに、電話は切れていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る