第41話
「見つからんがあるかあっ!」
眉を吊り上げ、憔悴しきった賢秀が、握り締めた受話器に向かってがなり立てた。
「仲間殺られて、てめえら何とも思わんのかい。探してますぅ?当たりめえだバカ野郎!おう、草の根分けても探し出して、修兵の野郎ブッ殺せ!」
賢秀は乱暴に受話器を叩きつけると、傍らのソファに座って新聞を広げている祐二の方へ、
「まったく、どいつもこいつも役立たずばかりだ」
祐二はちょっと頬を崩して、
「そう焦ることもないでしょう」と、宥めた。
「相手はただの野良犬です。何もできやしませんよ」
賢秀が上着のポケットから煙草を取り上げると、祐二は微笑み混じりにライターの火を差し出す。
賢秀は胸深く煙を吸い込み、椅子に腰を下ろした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます