第41話

「見つからんがあるかあっ!」


 眉を吊り上げ、憔悴しきった賢秀が、握り締めた受話器に向かってがなり立てた。


「仲間殺られて、てめえら何とも思わんのかい。探してますぅ?当たりめえだバカ野郎!おう、草の根分けても探し出して、修兵の野郎ブッ殺せ!」


 賢秀は乱暴に受話器を叩きつけると、傍らのソファに座って新聞を広げている祐二の方へ、


「まったく、どいつもこいつも役立たずばかりだ」


 祐二はちょっと頬を崩して、


「そう焦ることもないでしょう」と、宥めた。


「相手はただの野良犬です。何もできやしませんよ」


 賢秀が上着のポケットから煙草を取り上げると、祐二は微笑み混じりにライターの火を差し出す。


 賢秀は胸深く煙を吸い込み、椅子に腰を下ろした。

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