第22話 道化の呪い

2人部屋(メイド付き)にて。


「なんかさらっと国をあげた大改革し始めたわね...国王に頭下げさせるとかどんな人間よ。ま、私は貴方に仕える従者な訳だし。

貴方がまたすごい人生を歩むのは確定事項だし。」

「確かに、でも普通に考えて世界の征服を目論む人が国の基盤を整えさせるってどう言うこと?って感じだけどね。どう?即興で作った割には結構良かったと思うんだけど、ダメなとこある?」

「でも本当に現国王に口出しする権力があるとか本当に教皇様っていうのは凄いわね。まぁ失敗する未来なんて山ほどあるし気にする事はないよ。逆に成功する未来も山ほどあるんだから。」

「ならいいや。言い忘れてたけど貴方以外にもう1人専属秘書役のエルフがいるから。今はどっかでそういう仕事について学んできてるんだろうけど。」

「ふーん、そうなんだ。ま、私の方がすごいし!」


彼女は猫舌の癖にカッコつけてメイドとして働いているチャペロが入れた紅茶を飲み干そうとして熱そうにしている。なんかみっともないな。ん?また気のせいにしようとしたなこいつ歴史改変の能力とか言うすごい能力なんだからもっと凄いことに使えばいいのに。


「チャペロも一緒にどう?」

「では御言葉に甘えて。」


そう言って紅茶を飲んでいるだけで絵になるような彼女だが、中身は残酷な殺戮マシーンなんだから怖いよねぇ。

そのギャップは刺さる人には刺さりそうだけど。彼女とは前世でも従属と言うよりは友達のような相手だったからまたこうやって話せて嬉しい。


「はーでもあのクールって奴がいなかったら良いんだけどねー色々考えないといけない時に付き纏ってくるから。」

「あの男は父親に嫌われて呪いで話そうとすると勝手にああなるらしいですよ。

弟ばっかり贔屓されてるのは少し可哀想ですね。まぁ教皇様のお邪魔になるのならいつでも始末いたしますので。」

「…え?本当に?それめっちゃ可哀想じゃん!それのせいで嫌われてんの!?始末なんかしちゃダメだよ!」

「話す事がトリガーの魔法っぽいし言葉で書かせれば良いんじゃない?」


チャペロは素早くホワイトボードをペンを取り出した。あれ?なんかサラッと出したけど結構凄いの出してきたな…

教皇として、神の教えを無視した呪術である呪いのせいで苦しんでいる人を見捨てるわけにはいかない!

しかし私の燃やされるはずだった日記の中身は当たり前のようにみられているようなので諦めて彼の元へと向かった。


「気持ち悪りぃんだよテメェ!」

「や、やめ、止めるべきじゃないか!そんな差別するような言い方はよしたまえよ!」

「その言い方がキモいんだよカス!ゴミは黙って見てろ!」


丁度いじめの現場に出くわしたがこりゃひどいや。殴る蹴るにゴミを被せられてるのか?なかなか酷いことするなぁ。敵を監禁して死ぬまで拷問してた私が言えたことじゃないか。

めんどくさいしこいつらにはいったん黙ってもらおうかな。


「あぁ?何見てんだよブス!」

「こいつの顔面終わってんな!ほーら!ブスやってみろよ!」

「…貴方たち、こんな幼稚な事しか出来ないってことを自分達からみんなに教えてあげるなんてはずかしくないのかな?」

「まぁ、それが理解できる頭ならそんなことしないでしょ。」

「あ?なんだとゴラ!もっぺんいってみろや!」


こいつは私の事を舐め腐っていて何もして来ないとたかを括りきっている。こう言う奴らは性根から叩き直さないと。

でもサラッとリアナはこっち側みたいに言ってるけどさっき鬱陶しいとか言ってた気が...


「だから、こんな幼稚な事しか出来ないの?やるならもっと目玉ほじくりかえすとかさ、内臓引っ張ったりしたらいいじゃん。顔の皮剥いだりさ、しないの?」

「リアナ、それただの拷問だよ...」

「ちっ、気持ち悪りぃ。こんな奴にはこれぐらいがお似合いなんだよ!」

「あっそ、じゃあ君たちもゴミ箱に行ってらっしゃい。」


私が指を鳴らすとチャペロが飛んできて奴らを一瞬で縛り上げた。


「運びますか?」

「こいつら殺さないでいいから一年ぐらい運んどこ。お前らちょっとおいたが過ぎたな。ちゎっとはこれで反省しなよ。」

「おい!俺にこんなことしていいと思ってんのか!俺は大貴族の長男だぞ!」

「ふーん、私この国の王より偉いしどうでもいいかなぁ?ま、頭冷やしといでー」


そのまま彼は何処かから現れた暗殺部隊に運ばれていった。いじめるのは良くないしこれで改心してくれるといいけどねー

彼は怯えっぱなしで震えていたので取り合えず立ち上がらせた。


「やぁ、麗しい美女よ!君から僕の所に来てくれるなんてまさに運命!」

「その呪い、文字で書いたら影響受けないらしいよ。君も本当はこんな喋り方じゃないんでしょ?」


それを聞いて彼は渡されたすぐにホワイトボードに書き始めた。でも思いつかなかったのかな?紙に書いて伝えるなんて最初に思いついてもおかしくないのに。


【呪いって分かるのか。】


その一言を書くと彼の目から涙が溢れ出した。伝えたくても伝えられなくてそんな事も考える余裕も無いくらい切羽詰まっていたんだ。


『心にかなりのヒビが入ってますね。こんな事するなんて、最低にも程がある。』

【父に嫌われて、呪いをかけられてから誰にもその事を伝える事が出来なかったんだ。

いっつもいっぱいいっぱいでさ。

それでいろんな人に嫌われて、アイツみたいな奴にも嫌な事されて、もう生きてる意味なんてないと思ってたから。】

「大丈夫だよ。そんな家族を見捨てる奴なんて、この国には要らない。チャペロ、行くぞ。」

「はっ、」


私は授業を途中で抜け出し彼の父親の元へ向かった。後ろから怒号が聞こえるのは多分聞き間違いだ。静かに窓から屋敷に忍び込みそいつの部屋へと向かう。

奴を見つけたが不審な動きをしていたのでこっそりついて行くと、奴の開けた扉の先は目を疑う光景だった。


「ふん、あのアホ王が奴隷解放とかしやがったせいでこれがし辛くなっちまった。」


…それは拷問だった。しかも遊びで拷問させるという残虐な行為をしていたらしい。禁止された奴隷は解放令が出された後も手放すのを惜しんで隠したりするとは予想したがこんなことをしているとは...

私は我慢の限界で奴の首に刃を立てた。


「な、誰だ貴様らぁ!衛兵!衛兵さっさと来い!」

「黙れ。息子に呪いをかけるだけに飽き足らず禁止された奴隷で拷問か。いいご身分だな、大貴族の面汚しめ。」

「お前の息子のクールの呪いを解きなさい。そうしたら許してやろう。断れば、分かるよな?」

「わかった解く!ほら解いたぞ!だから許してくれ!」

『けっ、解くわけねぇだろ馬鹿野郎!って考えてます!マジでゲスですね!こんなのいりません!殺っちゃってください!』


ふーん、こんな抵抗しません!みたいなポーズしてる奴がねぇ?ここまでやってもわかんねぇんだな。


「解くわけねぇだろ馬鹿野郎!かー。せっかく慈悲をやろうと思ったが逆に今までお前が拷問で奴隷たちに与えた苦しみ分を与えてやるよ!」

「な、分かった!分かった!本当に解いた!これでゆるしてくれぇ!」


涙と鼻水で顔はぐちゃぐちゃになり、ブルブルと体を震わせていてさっきの威厳のある姿とは大違いだ。こいつまさか、殺されないとでもおもってたのか?


『今度はしっかり解けてますよ。』

「そうか、じゃあ死ね。」

「な、約束がち」


私は奴の首を切り落とした。


「私が許しても、お前のせいで苦しんだ人たちは許さねぇよ。」

「さすがです。これで彼も元通りですね。」

「そうだな、少し疲れたし帰ったら一緒に何か食べよう。」

「良いですね、じゃあこれとか…」




「…ちっ、このクソ親父め!何勝手に死んでんだ!そうだな、あのアホを呼び寄せてあいつの仲良い奴でも殺すか!あっはははは!」




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

教皇としての二度目の人生を終えて三度目はのんびりしようと思ったけど無理そうなので異世界を統一します。 リアス @00000aoto

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ