第13話模擬戦開始

校長視点…


 最初に動いたのは彼の方だった。剣を構えた彼の姿は一瞬で消え去り、残ったのは強すぎる踏み込みによって抉れた地面だけだった。


「なっ、どこへ行っ、」


 ガン!そんな音と共に目の前に火花が飛び散った。彼の剣を止めている魔鉱製の剣はミシミシと音を鳴らしながらヒビが入っていく。なぜそんな薄くて細長い剣でこの太い剣にヒビを入れられるんだ。

全く、青い星の技術は凄まじいな。

しかし彼は仕留め切れたと思っていたのか少し驚いた表情をしていた。


それはそうだ、止められたのは本当にたまたまだったのだから。身体の前で横に剣を構えていたお陰で彼の一太刀を止めることができた。彼がもしも横から攻撃をしてきていたらすぐにやられていただろう。


 しかしこの一太刀で私を仕留めきれなかった彼を見て、私は確信したのだ”勝てる”と。

なぜなら彼の昔の話からわかる事だ。

かつて彼には勇者である弟弟子がいたのだが彼や彼の師匠は勇者に勝つことが出来なかった。

理由は単純、彼らは一つの分野に特化しすぎていたのだった。実際剣術は彼の方が上であり大魔導師だった彼の師匠もまた然り。

 しかし剣と魔術、どちらともを使う事が出来た彼には敵わなかったのだ。


 私はヒビが入りボロボロになった剣を虚空にしまい新しい剣を取り出した。

彼はまだこちらの出方を伺っている今がチャンスだった。


「受けてみろ剣神!この世界で最も強い物は剣ではない!魔術のみが世界を支配できるのだ!」


 巨大な火球を私は打ち出す。勝った、その手応えを感じていた。しかしその瞬間予想外の事が起きた。火球が、消し飛んだのだ。


「何故...?何故無傷なのだ。」

「さぁ、何故でしょうな?」


 焦りで体勢が少し崩れている所に彼は大量の剣戟を喰らわせにきた。彼の一撃を防ぐだけで私の剣はボロボロになってしまうのでこのままでは押し切られて負けてしまう。


 私は仕留めるための重要な一撃に向け、作戦を練り始めたのだった…


レスタ視点…


 俺は校長に向かって斬りかかる。しかしこの地面、あまり固くないので力強く踏み込みずらい。

 彼にとりあえず頭を攻撃しようと無難に上からの攻撃する。

 彼はなんとか受け止めた様子で高そうな剣には大きなヒビが幾つも入っていた。もったいないな。後で鍛冶屋で治してもらわないとな。



 彼は持っていた剣を空へ投げる。するとその剣は吸い込まれるように消えていき、逆に虚空から引き抜くように新たな剣を取り出した。武器を別空間から出すのってなんかずるくね?


『まぁ別にダメな事はしてないですね。禁止事項でもなかったですし。』

(でも魔法使えない俺からしたらかなり不利だな。)


 すると彼は案の定魔法の詠唱を始めた。


「受けてみろ剣神!この世界で一番強い物は剣ではない!魔術のみが世界を支配できるのだ!」


 おうおう大した自信だな。まぁ魔術耐性ゼロだった頃の俺の事を知ってたらそんな自信も出てくるか。

 彼は生み出した大きな火球は猛スピードで剣を構える俺の所へ飛んでくる。


 しかし彼も運がないな。確かに前世の俺のままだったら負けていたかもしれない。

だが、魔術は俺にもう効かないんだ。


 魔術を研究中に分かったのだが、魔力の変化を司る核があり、それを破壊すれば魔術という物は魔力と共に一気に霧散する事を発見してしまったのだ。

そして俺が核を半分に斬り裂くと魔術は霧散した。彼は俺が何をしたのか訳が分からず大層驚いた顔をしていた。

 しかし、彼のストックの剣が無くなるまでのスタミナが耐えられるのかの持久戦は正直この年齢の姿ではかなりきつい。息切れや動悸がないだけましだが、スタミナがこの人ほど持つとは思えない。

そのため、俺は彼を倒す為の有効打になりうる一撃に向け準備を始めた。











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