第7話そして5年経った


「もうご飯出来るわよ!2人ともそろそろ準備手伝って!」

「分かりましたー!すぐに向かいますー!

レスタ、今日はこのぐらいにしておきましょう。」

「はい、早く行かないとせっかくのご馳走も冷めちゃいますからね。」



この世界に生まれてもう5年が経った。

まだこの年だと得意だった剣の練習は難しいが魔法に関してはチャペラが連れてきた彼女ヘルニカは本当に腕のいい魔女だった。


 この世界の魔術師にはランクが存在するのだがそれぞれ大魔導師、魔女や魔術師、魔導師、魔道士、魔道士見習いといった感じの位に分けられており、二番目である魔女である彼女は凄い実力者だったのだ。

大魔導師になったのは僕の師匠しか居ないけどそれでも彼女の才能は凄い。

しかもまだ20歳、まだまだ伸びしろはあるだろうから今後の実力では大魔導師にだってなれるかもしれない。

まぁ、世界最高の大魔導師の魔法とはまだ流石に見劣りするけどね。


 家に入ると様々な料理が机の一面に並べてあるのは肉、魚、どれも美味しそうなものばかりだ。


「今日はレスタの為のお祝いだからレスタの大好きな鳥の丸焼きもあるわよ!」

「本当?やったぁ!すぐにご飯の準備するね!」


明日、私が魔道士になる為の試験の景気付けのご馳走で長机に沢山の料理が並んでいる。机の上の燭台に火をつけ席に着くとみんなが祈りのポーズをする。

 私が広めた食べる前に言う神へのお祈りの言葉はこの世界では地球で言ういただきますと同じようなイメージになっているようだった。


「我等を見守りし偉大なる神よ。今日も命ある事を感謝致します。」

「感謝致します。」


 目を瞑り数秒間祈りを捧げた後、俺は目の前にある大きな鳥の丸焼きに勢いよくかぶりついた。

あぁ、やっぱり肉は最高だな。この溢れ出す肉汁がたまらない!魔力がスカスカでふらふらだった身体にエネルギーが満ちていくのが感じられる。


「こーらレスタ!野菜もしっかり食べなさい!」

「えー?今日は魔力を沢山使って疲れてますからちょっとぐらい良いでしょ!」

「いやいや、母さんの言う通りだぞ。そんな偏った生活してると身体に悪いんだからな。」


 私はを教皇の生まれ変わりと知ったばかりの母さんや父さんは最初こそ大変だったが、今は1人の娘として優しく育ててくれている。

この前なんか凄い暗い地下室で頭に松明括り付けて祈りを捧げてるのをみてちょっと大丈夫かな?ってなった時はあったけど多分大丈夫、多分。神代教は危ない事など一切しないホワイトな宗教ですから。


「ほら、レスタ。お二人の言う通りですよ。

 しっかりバランスよく食べないと明日の魔道士試験、受かれないですよ?」

「はーい、まぁでもきっちりこなして見せますよ!」


 こんな事をヘルニカは言っているが実際今習っている所が魔導師のランクの魔術ということは分かっているので正直受からないわけない、だがそう言う決まりがあるらしくしっかりと1個ずつやっていくしか無いらしい。

 チャペラに頼んで飛び級ありの制度に変えて貰おっかな?


「そんな舐めた事言ってたら足元掬われますよ?」

「大丈夫ですって!そんな難しいことじゃないんですから。」


 私はその後もうまい飯をたらふく食べ、

そのままぐっすりと寝てしまった…

そして、家のみんなが寝静まった夜中。

その部屋には松明がついていた。

彼女は目の前にある水晶玉に向かって話しかけていた。


「”マリア”、報告の時間です。教皇様はどのような感じですか?」

「はい。明日は彼の魔道士の試験ですが率直に申しますと合格は簡単であると思います。今の彼ならば魔導師の試験でも合格できるかも知れません。」

「ふふふ、さすが私の教皇様。そうかい、君はマリアだとバレないようにしてね。」

「…了解致しました。マスター」


水晶の接続は切れ、彼女はベットに倒れ込み天井に向かって手を伸ばす。


「後もう少し、待っていてね。レオ。」






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る