第6話昔のお話

 

 あの後なんとか両親達を追い出すことに成功した。本当、あいつが来てからいい事がなくないか?

取り合えずは2人っきりになれたしとりあえずマリア・グランデさんとお話しすることにした。


(こんにちはレスタです。こんななりですが中身は大人なので。あのーお名前をお聞きしたいんですけど。)

「えっ、あ、マ、マリア・グランデでふ。」

(いえ、そうではなくて貴方の本当のお名前を教えてもらいたいのですが…)

「えっ!な、なんで分かったんですか…あっ、いえ!私はマリアでふ!」

『なんでそう思ったんですか?別に疑う要素はなくないですか?』

(分かるも何も私のお師匠様の本名ですから。)


 あの女狐め。顔が似ているだけでなく、名前まで揃えてくるって何が目的なんだ?


「でも、陛下のお師匠様はかの大魔道士

聖天のエルゼ・フルイド様では…?」

(あぁ、それは師匠のいわゆるペンネームって奴ですよ。あの人は出自がバレたくないからあまり人に本名を教えたがらなかったからね。)

「そうなんですね、嘘ついてすいません...

あっ、これを貴方にお見せしようとお待ちした物なんですけど...」


 そして彼女は1冊の本を取り出した。


「これが今世界の中でもっとも詳しく書かれている古代史の写本です!エルゼ・フルイドについてもボロボロですがかなり詳細に書かれています。」


 ふーん、おっ、この著者あの図書館のお爺さんだ。すごいな、館長にまでなってたんだ。こっちに来てから分からない文化とかいろいろ教えてくれたんだよな。それに唯一異世界人の事を知ってる人だったからな。なんか地球の有名人もここに来てたらしいし、聖徳太子とかレオナルドダヴィンチとかも。


「えっと、ありました。ここら辺ですね。」


 僕は彼女の指差す所に書いてあった文章を読み始めた。


 著ヘル・ウィード 聖公歴62年


・大魔導師、聖天のエルゼ・フルイド 

生,魔公歴216年〜没,魔公歴259年


 魔法陣やさまざまな魔術の発明を行った近代魔術の母。また、彼女が開発した蓄魔病の治療方法により現在だけでも1300万人以上の命が救われたと言われている。

 彼女には2人の弟子がおり大魔王アルシェアを討ち取り265年間続いた魔公歴を終わらせ世界に平和を人類に与えた伝説の勇者、

クリミア=ハーリアス

二つ名を雷命のハーリアス(生,魔239年〜没,聖0年)

 世界の理不尽と謳われた世界最強の剣聖で異世界より召喚され神への忠誠心から狂愛の堕天使とも呼ばれた神代教初代教皇、

剣神のヘルカ・ボレオスタ(生,魔?年〜没,聖35年)と世界に名だたる二大巨頭である。

二つ名を持つ人類種は今まででこの三人のみであり、これらは神から与えられたもので、

聖天、雷命、剣神を総称して三大英雄と呼ばれる。

 彼女は14歳の時に聖天の称号を獲得しており、以降彼女が亡くなるまでの29年間それが別の人間に移ることはなかった。

しかし、そんな彼女の最後は弟子2人に見守られながら山奥の小屋で病気によりひっそりと息を引き取ったとされている。

葬式には世界中の魔術師や魔女が集まり、彼女の死を惜しんだ。

しかし、現在ヘルナは2人の弟子と共に埋葬されていることは分かっているが、未だにその墓地の行方は分かっていない。


(で、今はその墓地は発見されたのか?)

「いえ、未だに世界の謎として探されているのですが…」

(まぁ見つかる訳ないわな、あんな所にただの人間が入れる訳ないし)

『どこなんですか?この世界の人類が探せないところなんてそうそうありませんよ?』


 あー、えっと精霊の棲家に建てさせてもらったから。


『…マジか、あいつら私にも魔法ぶっ放してくる戦闘狂なのに…よく抑えましたね。天使にも平気で噛みつこうとしてきますから。』


 うーん、まぁどうやったかは察してほしいな。今は友達だしあんま古傷を捲らないでもらえると。


『ボコったんですね…』


ま、そう言うことですわね。


「急に黙り込んでどうしたんですか?」

(あぁ、こっちの話。)


 そのあと俺は前世の懐かしい話を沢山彼女にした。こう言う昔の話はいつもいっぱいいっぱいでなかなかできなかったからとても楽しかった。…そういえば結局名前聞いてなかったな。まぁ明日でいいか。


 そして俺は眠りについた。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る