第4話誰やねんお前
頭の中から謎の声が聞こえた瞬間、急に瞼が重くなり強烈な眠気が襲ってくる。僕は眠気に耐えきれず、深い眠りに落ちてしまった。
目を開けると私は何故か教皇の姿で、女神様が居られる場所に似たこの空間に女神様にそっくりな高校生ぐらいに見える女が立っている。
しかしその背中には大きな純白の羽が生えている。天使か?しかしなぜ…
(えっと...誰か教えてもらえると嬉しいんですけど)
『えっとですねー!あ、天使のアルって言います!はい!横にくっついててってお姉ちゃんに言われてきたんですけど間違って入っちゃいました!てへっ!』
(お姉ちゃんって女神様の事ですか?)
『はい!そうです!女神の一族は長女が女神をやって次女が天使をするんです!』
ふむ、なるほど。要するに僕の観察役に妹を付けようとしたけど間違えて僕の身体に入ったのか。
(それで、出られるんですか?)
『ううん!残念ながら出れないの!だから貴方とは死ぬまで一緒だね!でも結局死ぬまでそばにいるだけよりはよかったんじゃない?』
よろしくないですね、とてもよろしくない。
大人になった時にねぇ?あんなこととか見られたら気まずいって。
でも男の精神に女の身体だしなぁ...そっち方面はないかな。
(ちなみに外は見えるんですか…?)
『ええまぁ、貴方の脳の刺激を読み取ってその映像を映し出してみる感じですね。まぁ起きてる時も会話は可能ですよ。と言うか戻らないんですか?』
(え?無理やり連れて来たのはそっちじゃないんですか?それに帰り方分からないですし。)
『それなら帰りたいって思えば帰れますよ。
後意識失ってから10日ぐらい経ってるんで早く戻った方がいいですよー』
その声を最後にこちらでの意識は途絶えた。
なんか目が覚めたら家の地下でマヤ文明の生贄みたいな感じで儀式されてるんですけど!?
めっちゃ胡散臭いオババがお祈りしてきてるんですけど!おい葉っぱやめい!
というか気づいた親が親は泣きながら僕に抱きついてくる。
「貴方ぁ!貴方ぁ!起きて起きて!レスタが目を覚ましたわよ!」
「んぁっ!なんだつて!良かった!本当に良かった!」
…これは私が死んでた扱いになってたっぽいな。
迂闊にあの空間には行けない感じか...
それこそ飯を食えずにそのまま餓死だってあり得たのだから。
『まぁ当然ですね。一応私のいるここも神域の一部なので時の流れがそちらとは違うのです。姉のところなんてあの10分程度で地上では300年経っていたのだからわかるでしょう?』
そういうもんなんだ。神様は長生きって言うけどそう言う理由もあるんだろうな。
すると上からこんこんと扉をノックする音が聞こえた。どうやら大雪が降っているようで暖炉がある室内でも結構寒い。
「はーい!すぐ行きます!」
さっきまでぐじゃぐじゃ泣いていたのが嘘のように母のマリナは急いで扉を開ける。
するとその人物は母を無視してずかずかと家に入り僕の前に現れた。
「お久しぶりです、教皇様。そんなお姿になられて…」
そこにはかつてとなにも変わらないチャペラの姿があった。
しかし、赤子なので話そうと思って話せない。ほんっと最初からテレパシーぐらいは出来る様にしてほしかったわ。
「あっ!これを飲んでください!これで頭の中で考えるだけで意思疎通が可能になる薬です。」
…この子いつのまにか人の心を読めるようにでもなったのか?
でも、体感ではたった10日ぶりの再会だ。
俺は親が持ってきた水と共に薬を飲むと頭の中でみんなの声が反響している様な変な感じになった。
「どうです?出来ましたか?」
(あぁ、少し気持ち悪いけどすぐに慣れると思う。チャペラ、君たちとはもう二度と会う事は無いと思っていたのだけどね。)
「そんな事をおっしゃらないで下さい!神の寵愛を一身に受けた貴方が…」
母マリナと父カラケの2人は聴こえていない様でこちらを不思議そうな目で見つめている。
そりゃあ現在は総理大臣的な立場のチャペラがこんな赤子に話しかけてるのがさぞ不思議に見えている事だろう。だがそれで良かった。
誰からかまわず僕が教皇であったと知られてしまったら溜まったもんじゃないし。
「ようやくお会いできました!腐った教会の上層部は追い出しました!また教皇の座にお戻り下さい!」
(いや戻らないよ?、と言うかチャペラ、親に知られたらだめだろ!)
「え、あ、なっ、何故です!民は今も苦しんでいるのです!初代教皇の貴方が戻れば信徒も戻ります!また平和が!」
(君にまた会えたことは嬉しく思う。でも僕という存在はあそこで終わりだ。普通はそれで終わりなんだ。神代教はお前達に預ける。もう教皇の座には戻らないよ。)
私は彼女にはっきりと言い放った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます