其の参 心
「……っ!はぁはぁ」
恐怖や寂しさなどの感情が交錯して、私は飛び起きてしまった。
悪夢を見ていたのだ。どんな夢だったかは忘れてしまったけれど。でも、私が体験したことが夢だったとはとても思えない。まるで、全力で何百、何千メートルも走った感覚が残っているのだ。
「なんで思い出せないんだろう」
何としても思い出さなくちゃいけない。忘れてはいけないはずだったのに。もう、何も思い出せない。覚えているのは迷宮の中で化け物に追われ、そして、何かの罪を負ったこと。ただそれだけ。
ああ、思い出したいのに、全く思い出せないこの感じ。どうしようもなく、焦燥感に駆られる。それが大切なことなら尚更。
「百合香ー、ご飯だよぉ」
階下からおばあちゃんが私を呼ぶ声が聞こえた。飛び起きたから、まだ朝早い時間かと思ったけれど、時計を見ると六時半。いつも通りの時間だった。
「今行くよー!」
お母さんの遺影に手を合わせてから、リビングに向かった。お母さんがいなくなってから、もう五年が経つ。
「お母さん、今日も頑張るね」
怖い夢を見た後だけれど、私の心は白く、スッキリしていた。
☆☆☆
どうも、作者です。実は、この話に関しましては、設定も細かく練った上で、小説にするのは難しいと断念したものです。ですから、作者がしっかり話を考えたという意味で、一応答えがあります。
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