死相反のイフ

生面 清過

第2話 お前ら

第2話 お前ら


…ぁ…


ぁ…ぁ…ぁ…


ぁ…ぁぁ……ぁ…


ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"ああ"あ"あ"あ"ああ"あッッ""!!


“ゴ"ァン"ッ ッ ”!!


時刻はおそらく深夜2時。

青白く輝く世界にただ独り、赤黒く朽ち果てたシルエットを叫び殴る。


シ"…………ン。


「俺にしては…悪くない最期だな…」


…あ り が と う な 。 ク ソ み た い な お 前 ら。



------------ 約 2 時 間 前 ------------



…カチ……カチ……カチ……カチ…


カキカキカキ…タッ。カキカキ…カタ。タッ…。カキカキ…。カタッ…。


「…ぅぁあああぁぁーー…んもおぉぉぉぉぉぉぉぉぉー-

なぁぁぁぁ~ぁ~ぁ~んもっ!……思い浮かばねぇ…」


時刻は12時44分。中途半端な深夜が半端未満の浅い苦悩をぼやかせた。


「はぁー-ぁ--ァ-ア"!!。」


今書いてる小説の第2章が思いつかず死にたくなる。いや、死ななきゃいけなくなる。


「まだ…死ねない。」


…この小説のタイトルは『窮鼠、虎を狩る』だ。

今の俺は猫すら噛めないネズミだってのに過去の自分は残酷だ…。

…もはや何になりたかったのかすら忘れてしまいたい。



『お前は何にもなれない』



…もし今の俺が後付けで理由を作るなら。そうだなぁ…

こんな酷い世界に産み落とした神への逆恨みだろうか。



『お前に神は殺せない』



ハハッ…。何でこんな拗らせてしまったんだろうか…。

……昔はこんなんじゃなかったのに。


「…………」


…なんて今更か…。

過去をどれだけ美化したって…。憎んだって…。

この先が真っ暗なのは変わらない。


「もう…無理なの…か?」


今の俺には芸術家のような自由な才能も。表現者としての大層な信念も。

創作者として必要な全てがない。……はずなのに。



『お前は誰よりも凡人だ』



何故だろうか。こんなにも惨めなのに。こんなにも虚しいのに。

どうしようもなく空っぽな心を満たす何かがここにある気がして止まないんだ。


『見苦しいぞ。もう…諦めろよ』


…正直、俺もいい歳だ。

現実なんか" ク " ソ "社会に適応してる連中よりず っ っ ッと"知っている。

お " 前 " ら ”の言ぅ現実は………っ。

いや…止めよう。変わらない現実なんか見たくない。


「は…ぁ」


…ちくしょう。だから嫌なんだ小説を書くのは…

俺は孤独を紛らわそうと余命宣告を受けたスマホを叩き起こしては青白い鳥の胃袋に逃げ込んだ。

…いつかは消化されると知りながら。


…カチ……カチ……カチ……カチ…


カキ…カキカキ…カキカキカキ……カキ…


…シュッ…ポ。…シュッポ。シュッ……ポ。



『幸せの青い鳥が幸せなのは誰かの幸せを吸収してるからだろうか。』


…急に頭によぎるニヒルなセリフに酔い浸り、不幸の青い鳥に人口呼吸しては何かを吐き出させようと胸骨圧迫していく。

……………………………。


シュッ……ッ…………ッ………ポ。


「…ぉ!?」


【政府はいい加減安楽死を認めるべきだ。

社会不適合者の居場所を奪うこんなクソ社会じゃ俺らは犯罪者になるしかない。

誰も自分の家族を殺されたくはないだろ?俺らもそこまでして生きたくはない。

だがお前らは都合よく浅い綺麗事を押し付けやがる。

…お前らが俺らを殺したいように俺らも死にてぇんだ。

頼むから早く死なせてくれ…】



醜い鳥の胃液で脳が溶け始めて9分。ようやく今日の炎上事が流れてきた。

ハートは2万。リツイート3千。フォロワーは23万。

…俺が唯一フォローしてたあの人だった。


「…そッッッッッれなあぁぁぁぁぁア"!!!

俺も同じこと思ってたんだよ!!」


今日はクリスマスでもないのにサンタを待ち望む子供のように無邪気にはしゃいだ。

フフッ…こんなに五月蠅ければまたババァに説教されるってのによ。

…いや、それはもう大丈夫か。


『やったー!やったー!』


…これまで生きてきた22年間の人生で一番言われた言葉は「年齢を考えろ」だ。

俺はその度に「歳なんか関係ない」と反抗し続けてきた。


『…本当は分かっている』


…そんな俺を呆れたように…。諦めたようにお前ら目線の説教を言いやが"る。

いつしか俺はそんな…ツ"まんね"ぇ大人の社会を。

糞喰らえな現実を誰よりも憎み、引きこもるようになっていた…。


「フッ…」


…皮肉にも4年も止まっていた俺の感情が動き出した出来事は希死念慮の共感だった。

やっぱり、俺の思想は間違ってなかったと。この人こそ、死の救世主だと。

俺は嬉しくて…。嬉しくて…。嬉しくて…。そして、ふと寂しくなって。



“俺 は”


[ ヤ メ ロ…]


“ 寂 し さ に 任 せ て ”


[ も ぅ … ゃ め て く れ …]


“ 画 面 を タ ッ プ した ”


[ヤ" ァ” ー メ"ェー ロ"ォ ォ ォォオ オ"ッ!!]


… ポ  ン  。


…俺のキモイ期待の下では罪悪感の奴隷達がイかれた祭りを開いていた。



【人生を諦めて死んだって未練が残るだけ。

それなら生きたいと思いながら死ねた方が幸せだと思わない?】


【お前の命は沢山の愛情と沢山の心の犠牲で成り立ってんだ。

お前の人生だろうと簡単に命を捨てる真似だけはするなッッ!』


【自殺を軽んじるな。命を軽んじるな。社会を軽んじるな。

自殺はお前らだけでなく残された人間の命までも奪う。

俺らが苦しくても生きてんのは残された人間を守りたいからだ】


…気持ち悪い。


『キモい。キモい。キモい。キモい。』


白過ぎる高揚感が一瞬でドス黒い吐き気に裏返った。


『 嫌 な ら も う 見 る な 』


んな"ッ事は昔から分かっている。

…それでも俺は「返信をさらに表示」を押した。

まるで…肥溜めに誘われた便所蝿のように。



【社会に出てすらない引きこもりが社会を語るなよw

てか死に急いでる癖に自分で死ぬ覚悟もないとかダサすぎて草】


【生かされてきたありがたみすら分からない奴がわがまま言うな

今までお世話になった人の事すら思いやれないクズは黙って死ね】


【国がそれを認めるのは殺人の合法化と変わらないし無理でしょ

てかお前らのしょーもない人生の茶番に俺らの税金使わせてたまるかw】



…ウザい。


『ウ ザ い 。ウ ザ い 。ウ ザ い 。』


吐き気は 徐々に 飢えへと 入れ替わった。


誰もが一度は心の中で思ったことはあるはずなのに…。

どう思おうと何を言おうと独り言なんだから自由だろうが。


…カチ………カチ……カチ………カチ…

カ キ…カ キ カ キ…カ キ…ガ” リ" ッ"…


「……ッチ。」


スッ。


「…ふ…ぅ」


……グ" ッ ビッッ…グビグビッ…


発達期の積乱雲のような ”苛” ”立” ”ち” を”

炭酸の抜けたエナドリで落とし込もうと首を縦180度曲げた。


カ コ ッ


…逆さまの世界は……あまりにも美しくて……俺の世界は時を止めた……。


『ぁあ…なんて心地がいいんだ。』


まるで……もしかしたら…

この世界の全てが偽物で…嘘で…作り物で…

反転世界こそが本当の世界のような。そんな不思議な気分だった。


…カチ………………カチ……………カチ…


…少し 落ち着いた気がする。


「……っふぅー。」


何かを変えた気になって目をゆっくり瞑り…潰し…

長い後ろ髪の残像が残る程勢いよく頭を元に戻した。


「n"ッ ア"」


だが… "無" "意" "味" だ っ た。

…そんな悪あがきをしたってお前らはお前らのまま。

俺は……" 俺 " の ま ま だった…。


【安楽死だ?

バカ言ってんじゃねぇよ

親や他人に散々迷惑かけてきた癖に自分達は楽に死にてぇなんて虫が良すぎんだろ

お前らクズ共にお似合いの死に様はせいぜい苦痛死だろ】


「…ぁ?」


…俺は4年前からずっとROM専だ…。

理由はお前ら"バ ” カ" 共と一緒になりたくねぇからだ。


『…落ち着け……落ち着けよ…俺』


俺はお前らとは違う。俺はお前らより賢い。

そう思っていた。そう…思いたかった。


「…ッチ。…ッ チ”。…ク ソ が。」


蜘蛛の糸を引き千切ろうとお前らが嘲笑いながら俺にしがみつく。

…ようやく糸を垂らす奴の面、剝がせそうだってのによ…。


「…はぁ……クソが…。」


最近、よく悪夢にうなされる。

そのせいか目を覚ます度にしょーもない現実に苛立つ。


「…簡単に死にたいとか言” ヴ "ナ”?

…じゃぁ、、。

簡単に生きろなんてぬかすな……ガ" キ”」


いつからだろうか…。こんなにも独り言が増えたのは。


…カ チ……………………………カ チ…


…寂しいのだろうか。…いや、そんなわけない。

俺は最初から独りで生きてきた…はず。



『繧ゅ@繧ゅ♀蜑阪′菫コ縺倥c縺ェ縺上↑縺」縺滓凾縺ッ窶ヲ』



…はずなのに。誰かが隣にいた気がする。


「…………………寝よう………」



………カ…ッ……チ………………カ…ッ…チ………


「…ハ…………………ァ…」


………カ…ッ………………………ッ…チ……


「……ン…………ゥ…………」


………カ…ッ………………………

…チ………………カッ……チ………


「……ハァ…………」


…………………………………………………。


こんなにもため息が漏れるのは…


「ッ……………………ぁ…」


こんなにも言葉が出ないのは…


「…………………………ハ…ァ…」


思想の死相が見えてしまったから……?


…………。 …………。 …………。


「…………ハァ」


…ブッッ…………ガタッ…


スマホの点滴を強引に抜き取りまた仄暗い沼に帰る。


……シュッ…………………………………ポ…


「………………………………」


ドジャーザーードザザードシャシャードゴーーザー…

ゴ"フ”ュ…ゴゥゥウヴ……ゥ……ビュ……ゴゥ……


雨 風 の 音 が う る さ い


「………………………………」


……カチ…ッ……カ…ッチ………ッ…カチ……


時 計 の 音 が う る さ い


「………ッ……………………ッ…」


ドクッ………………ドクッ……


…シ………………………………ン…



「…ッスゥ……ヒゥ………ッスゥ………ヒゥ…」


息 の 音 が う る さ い



シュッ……………………………ポ…


「…………ぁ………………ァ…」



『お前に似合いの死に様は苦痛死だろw』


「…………………………ァ?」


……カ…ッチ……カカ…ッチ……カッ…チ………


『…死…………ね…』


……ブォ………ォ……ォ…ォ…ォ ォ ォ ォ ォオ"オォ…ン……


車 の 音 が う る さ い


「……………ッチ…」


『…死…ね………死…ネ…………』


ド……ク…ッ………ドクッ……


………カカ…ッ……チ………カ………ッ…チチ………


『”死"……”ネ"…………”死"……”ネ"』


「………………………………」


プ"ア"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ア"ア"ン

ッペ"ェ”ェ”ェ”エ”エ”ポ"ォ"ォ"ォ"ォ"オ”

"ォ"オ”ォ"ォ"ォ"ペ"ェ”ェ”ェ”エ”エ”…


救急車の音がうるせぇ…


「…ッ………チ…死ね」


…ッチ ……ッチ……ッチ……ッチ……ッチ… チッ…


『死ね死ね死ね死ね死ね』

『死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ』

『死ね死ネ死ね死ネ死ね死ね死ね死ネ死ね死ネ』


ド"ドク"ッ ド"ドクッ "ドクッ" ドククッ" ドククッ" ド"クッドクッ”


…ド”ッ………………ッ………………ックn……



『死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねシネ

死ね死ネ死ね死ネ死ねね死ネ死死ね死ね死ネ

死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねシネ

死ね死ね死ね死ね死ね死ねシ ネ シ ネ シ ネ シ" ネ』



「…ぁ…ァ"ぁ"ァ"あ"ア"ぁ"ァ"ぁ"ア"ぁ"ァ"ぁ"ア"あ"ァ"あ"ア"ァ"あ”」」


気付けば俺の指先はエナドリで加速した心臓の鼓動よりも。


ド”ク”ド”ク”ド”ク”ド”ク”ド”ク”ド”ク”ド”ク”ド”ク”ド”ク”ド”ク”ド”ク”ド”ク”ド”ク”


壊れかけの時計の秒針よりも。


カ"チ"チ"チ"チ"チ"チ"チ"チ"チ"チ"カ"カ"カ"カ"カ"ヵ"カ"カ"カ"カ"カ"カ"カ"チ"


醜い顔に書き殴った小説よりも断然早い速度で言葉の弾丸を打ち込んでいた。


ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ッ ダ" ! ! !


「苦痛死?なんだそれ。

変な造語で偉そうに説教垂れてんのマジダサいぞ老害。

つか何で赤の他人のてめぇが俺らの死に様にケチ付けてんだよ」


…カチチヵカカカカチ……カチ…カチチカカチカ…ッ…

ガリガリッ…ガリッ…ガリガリガガガガガガガリッ…

ドク!ドク!ドク!ドク!ドク!ドク!ドク!ドク!


………………………………………………ッチ。


黒紫のクマの痙攣。ちどり足の震え。脳内の沼は沸騰。

剛毛に覆われた肌の下に抑え込まれた全身の怒りが叫び出す。

死体のように真っ青な顔は鬼のような地獄色に染まる。


「…死ね…死ね…死ね…死ね…死ね…死ね…死ね…死ね…」


ゾンビのような虚ろな目でぼそぼそと呟きながらカス共のアカウントを神に報告しまくる。

…俺は基本的に無神論者だが、今日ばかりは神がいると信じたかった。

もし神がいるならこんな不毛な争いに更ける俺らを許すわけがないのだから。


「…………。」


…カチ…………カチ…………カチ…………カチ…

カキカキ…カキ…カキカキカキ…

ドクッ!!ドクッ!!ドクッ!!ドクッ!!ドクッ!!



不本意な命乞いする時間はあまりにも惨めに俺の恐怖を引きずり出してく。

それでもスマホを捨てず固執してるのは何のためだろうか。


「………。」


カキ…ガキ…ガリ…ガリッガリッガリリッ!!


…頭の中を蠢く寄生虫のせいで内側が痒くてしょうがない。

……今ならまだ引き返せる。もう…見るのはやめよう。そう思った時だった。


ピコン。


【地に足付けた生き様すらない奴に死に様も糞もないだろww

他人の善意を突き放してきた奴らの最期を誰が面倒みたいと思うんだよw

それに、誰がどう見てもダサいのはお前らの方だろww】


………カチッ!…………カチッ!……………カチッ!…ガチッ!!


「ッッッ!?

ッザっっけんなックソがァァ!!」


ゴ" ォ ン " ッ" !!


…ちくしょう。やっぱりこの世界に神なんていない。

惰性で浮き出た血管を…石のように硬くした拳…。

…行き場のない。途方もない。救いのない怒りを壁にぶつけた。


…………ズシ…ッ……ズシ…ッ…


何で…。何で俺の道はこんなにも障害が多いんだ…クソが。


「ッ"ッ"ッ"スゥ”ゥ”ウ”ッ”……ぁ”あッ"」


ガ"チャッ!


ビ" クッ!?


報われない地獄の叫びさえ邪魔する天使がドアを開ける。


「克人。ちょっといい?」


「…あ?何だよ。

てかいきなり入んなや」


「いいから…来なさい。」


「何?何の要件?」


「”キ "な ” "さ” "い” ッ "!!」


「っ!?…急に大声出すなよ。

……分かった。分かったから先降りてて。」


"ニ ッ コ ッ"


「早く………来るのよ?」


いつもならノックして入ってくる母が予備動作なしでドアを開けて

阿修羅のようなしかめっ面と仏のような笑顔でそう言った。


ズシッ…ズシッ…ズシッ…ズシッ…


はぁ……今すぐ世界が終わってくんねぇかな…。

今までにないくらい最悪の気分だ。本当に…最悪の気分だ…。

まるでゲームの電源を急に消されたガキのような…。


ジンッ…ジンッ……ジンッ…


ちくしょう。何だってんだ。…クソ。

無駄な感情の起伏で殴り慣れてない右手が練炭で焼かれるように痛む。

あぁ…めんどくせぇ。


ズシッ…ズシッ…ズシッ…ズシッ…


「…ッチ。閉めてけよ…」


開けたドアを閉めずわざとらしく音を立てて俺をせかすようにゆっくり階段を降りていく。…うざっ。

……嫌な予感しかしないがここを降りなければ途方もない敗北感に吞まれそうだ。…だるっ。

……………………………………。


「ッフゥーーー。

何なんだよ…マジで。」


…空になったエナドリの補充ついでだ。ささっと聞き流してささっと戻ろう。

階段の端に溜まった髪の毛とゴミに触れないように真ん中を頭を掻き毟りながら降りていく。


カキ…カキカキ…カキカキカキ……カキ…カキカキカキ…


…ポタッ…。


「冷たっッ」


クソが…。階段上の雨漏りをすっかり忘れていた。


「……ッチ」


腐った天井を睨みながら虚しい舌打ちを下に吐く。



「んで何?」


「…座って。」


リビングに降りると母はあのクソ面接官のように偉そうに椅子に座って俺に指図した。クソが…。


「これ…。また届いてたわよ」


…イッ  ラァッッ…


「ッチ!ッせぇんだよ!!

口出しすんなって言っただろ」


「あんたねぇ…」


「耳腐ってんのか?黙れっつってんの!

下らねぇ説教ならもう戻るわッ!」


「…アタシはあんたの事を思っt」


「…あ"?何?また殴られてぇの?」


「……。」


先週の一件以来あれだけ口うるさいババァも少しは大人しくなったと思ってたらこれだ…。

ホント…このババァは救いようがねぇな…。なのに…何だその目は。


「ッチ。!」


…また妙な気を起こされる前にビビらせとくか。

俺は母を殺す勢いで睨み何も言わず台所に向かい洗い物の下の棚を開けた。


「何…何なのよ」


キィーー…。 …シャッ。 ガタッ。


「ヒッ!?」


刃こぼれした刃先を後ろに向けて持ちながら俺は飢えた獣のように無言でじりじり近づいていく。


「…何する気」


…ヒタッ………………ヒタッ…


「や、やめなさい」


…ピトッ…………ピトッ…


「やめて…お願いだから。」


…ビダッ……ビダッ…


「ゃ…めて」



ガタッ。



「ッ!!」


「…ハッw」


ド" ド ド" ド ド" ド" ド"ドド"ド ド"ドド ド ド"


「ご…めんなさぃ!ゴメンなさい! ゴ メ ン ナ サ イ !ゴメンナサイィィぃ!!」


「死ねや!クソババァァァッ!!」


ド" ド ドド ドド ドドド ドド ド ド ッ ダ" ! ! !


「ヒ"ィ"ィ"ィ"ィ"ィ"イ"ヤ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ア"ア"ア"ア"ア"」



ド " ス ッ ! !



震えた声で怯える母の背が壁に当たり母が一瞬後ろに目を向けた瞬間俺は壁を思いっきりぶっ刺した。




「…ゴメンナサイィ……ゴメンナサイィ……ゴメンナサイィ……」


「ハハッw…だせぇなマジで。」


「…ゴメンナサイィ……ゴメンナサイィ……ゴメンナサイィ……」


「…謝るくらいなら最初から口出してんじゃねぇよ…。

アンタが母親だからって俺には関係ねぇ。…次はねぇぞ」


「ゴメンナサイ……メンナサイ……ンナサイ……ナサイ……サィ?」


そう吐き捨て俺はいつものように二階に戻ろうと足を階段にかける。

俺はこの家で最も恐ろしいモンスター何だと勝ち誇っていた。

だが、この満ち足りたこの自信は妄想に作られた虚勢に過ぎなかった。


ズ ゾ ッ



「……なさぃ。」


…ズシッ…ズシッ…


「待ちなさいッッッッ!!!」


俺は過信しきっていた己の強さを。俺は舐めていた母の弱さを。


「んだよッ…まだ何かあんの…k!?」


しつこく呼ぶ母に握りこぶしを固めながら首を振り向こうとしているのに。何故だろうか。

…身体が動かない。指の一本たりとも動かない。瞬きすら出来ない。

まるで…俺の全細胞が後ろの存在に服従してるかのような圧倒的なオーラ。


「…ド ウ シ タ ノ ?何故 コ ッ チ を向かないの?」


「………ッ」


振り返らずとも分かる。今、後ろにいる母は俺の知ってる母ではない。

蕁麻疹のように痒い鳥肌が剣山のように立ッている。…ヤバい。


「コ" ッ チ" を" 向" け" ェ" ェ" ! ! !」


「!? !? !? !? !? !? !?」


ほんの数秒前まで俺に命乞いしていた母の声は今まで感じたことのない覇気を纏った声だった。

…だが、 だが…。 だが! ダガッ!! …そんな恐怖で俺の狂気は鎮めやしない。


『ぁ" ぁ" ぁ" ァ" ッ"ヴ"ァ"ァ"ァ" ァ" ア" ア" ア" ア"ッ"ッ"! ! ! ! ! ! 』


俺は 全身の金縛りを 強引に逆行して 振り向いた。


「ッッッッ……チ。

…ウッッゼぇぇな!

黙れっつったのが…聞…こ…えn !?」


…バカでかい警鐘の意味が分かった。

壁に刺さってた包丁はいつの間にか抜き取られており

見たことない哀しそうな顔の母は喉元を包丁でつついていた。


「やっと、振り向いたわね…。良かった…。

母親として最期に "覚悟" を示さないままアッチには逝けないもの…」



俺は……安心した。またいつもの事かと。

さっきまでの危険信号はただの勘違いだったと。


「ッハw!だから?何?

俺がそんな茶番に構うとでも思ってんの?」


「茶番ね…。良かったわ…貴方が私の息子で。」


下を向いた包丁の背には線香花火のような雫が溜まり

今までになく美しい母は俺だけを見つめて腕を伸ばしていた。


ピ カ ッ


「さようなら…。愛 し の 我 が 子 よ」


…カチ………………………………カチ…


はいはい。どうせいつもの構ってちゃんでしょ。だから嫌いなんだよ!


『…それで本当に後悔しないか?』


後悔?しない。しない。するわけがない。あんな老害さっさと死ねばいい。


『お前は本当にそれを望んでるんだな?』


あぁ、当たり前だ。アイツにどれだけ人生狂わせられたと思ってんだ。

…さっさと死ねばいい。そう思っているはずなのに…何だこの違和感…。


『もしも…アイツが死ねば…』


見慣れた茶番だと分かり切ってるはずなのに何故だろうか。

今日の母の言葉には物言えぬ奇妙な恐怖と謎の違和感がある。


…カチ………………………………カチ…

…………………。


ド" ゴ" ォ" ロ" ロ" ロ" ロ" ロ" ロ" ロ" ロ" ロ" ロ" ロ" ロ" ォ" …


『…ッ チ !!

チッッックショォォォオ!!ヤメロやクソババァ!」


俺のジレンマはこの世界の時間をほんの少しスローにした。



「…フフッ。本当に…  ア リ ガ ト ォ 。」



…フ" ュ ッ ッ ッ…



「ッ" ッ" "カ ""!?」


……ズシャッ……ブシュッッ…

ドボッ…ドボボっ…


「 " ッ " " ッ " " ッ " " ッ " !?

イ ” ッ " ッ " ッ ” ッ ” ッ ” デ”"ェ"ェ”ェ"エ”ェ”ェ”ェ"ェ"ェ”エ"エ”エェ”」



…マジかよあのババァ…。ついにやりやがった…。

ッチ!!クソクソクソクソクソクソ…やられた。

母の会心の騙し討ちに反射的に飛び出た左腕が切られとてつもなく痛い。


「あら…" 可 " 哀 " 想 "にィ。楽に逝けなかったのねェ…。

でも安心しなさい。お母さんが最期まで面倒見て あ ~ げ ー る …カラッ♪」


ギ  ラ  ッ !!!!



『 逃 げ ろ ッ ッ ! !』



ドタッ ドタッ タッ タッ ドタタッ ドタッ ドタッ ドタッ ドタタッ ド タッ ッ!!

バタンッッ!


「…デブの癖に逃げ足だけは速いのね…。あの人のせいかしら。

…フフッ…フフフッ…ホント…憎たらしいッッ!!」



「ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ…」


…ちくしょう。父さんの言うとおりだった。

確かに、直感から外れた迷いはロクな結果を産み出さなかった。


ズシッ…ズシッ……ズシッ…ズシッ……ズシッ…


「克人~。母さんね。アンタが息子で本当に良かったと思ってるのよ

だって貴方みたいな悪魔。アタシ以外の元に生まれたら親が可哀想でしょ?」



ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッ


…ちくしょう。ちくしょう。これが俺の望んだ現実かよ。


『ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい』


ポタッ…ポタッ…ボトッ…ポタッ


ズシッ…ズシッ…ズシッ…ズシッ…ズシッ…


「お、お、お、お、お、

お お お 落ち着いてくれ!母さn!」


「黙りなさいッッ!!

もう喋らないで…貴方はもうあたしの息子じゃない…」


ズシッ………ズシッ………ド シッッッ!!



「ヒィ!?

マジかマジかマジかマジかマジか」


『殺される殺される殺される殺される』


ドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドク

……ポタッ………ボタッ………ポタッ………ポタッ……


「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…ッッンハァ…」


この家のドアにはロックはついてない。だから死ぬ気の人力ロックをしている。

刺される恐怖さえ知らなければ凶器を持っていようが突っ込めたはずなのに…。

生き延びたい命が心さえも支配する…。どうしようもなく死にたくない。



コンコン。


「早く開けなさい。

お前のような悪魔はあの世しか居場所がないのだから」


やべぇ。やべぇやべぇやべぇ。

どうしようどうしよう ど ど どうしよう…


「克人~ハヤク開けなさ~イ??」


コンコンコンコンコン。


ちくしょう。なんでこうゆう時にノックしてんだよ…

意味ねぇだろ。何がしてぇんだ。俺への当てつけか?



「…俺を殺したってあんたは救われねぇぞ」


「……。」


ギギギギギギギギギギギギギィ!


「ッ!?」


「フフッ…何をッ!言ってッ!るのッ!」


ゴッ!ゴンッ!ゴッ!ゴンッ!


「…アタシが救われる必要なんかないじゃない。

アタシは貴方よりも遥か上にいるのだから」


「……そうかよ。」



クソが…。俺は確かにアンタに叫んだよ…

世界よ終われとも。死にたいとも願った。

あぁ、言ったとも。でもよぉ。なぁ…神様。


『死がこんなにも怖い事だなんて聞いてないッッ』


『怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い?。怖い。』



…ちくしょう。俺はこんなにも死を恐れていたのかよ…。ダセェな。


「…な、なぁ、俺の事そんなに憎んでたのか?」


畜生…。こんなこと聞きたいわけじゃねぇ…。

クソが…。畜生…。悔しい…。畜生……惨めだ。


「……別に憎んでなんかいないわ。

アタシはあたしの人生を地獄に引きずり落とした" 悪 魔 "を!ぶっ殺すだッッけ!!」


ギギギギギギギギッギギギギギィィゴンゴンゴンゴンゴンッッ!!


「……悪魔か…。」


…めちゃくちゃ憎んでんじゃねぇかよ…w。

……まぁ、そんなことはどうでもいい。


…カチ…………カチ…………カチ…………カチ…

ポタッ……ポタッ……ポタッ……ポタッ…

ドクッ!ドクッ!ドクッ!ドクッ!ドクッ!



ギ"ギ"ギ"ィ……ギ"ギ"ギ"ィ……ギ"ギ"ギ"ィ…


ッッッ!!…あのババァのどこにこんな力が残ってたんだよ…。


「まぁ…でもアタシは腐ってもあんたの元親。

あんたがどうゆう気持ちでアタシに当たってたのか。

どれほど藻掻いていたか。アンタの苦悩は痛いほど伝わってたわ…。」


「…ババァ…。」


「アンタがなりたかった夢だってアタシは心の奥では応援してたのよ?

…仮にもアンタはアタシの腹から生まれたんですもの。」


「……。」


「アンタがどんなに堕ちたってアンタの気持ちは誰よりも分かるわ

…だってそれが親子ってものですもの…。今まで悪かったわね…。」


「………かぁさん…」


「…だぁ~か ぁーら"ァ…。 ハ ヤ ク アタシに ヤ ら れ な さ ぁ あ" い" ?」


…ガンッ………ガンッ………ガッ…ガ ン ッ……ガ ン ッ……ガ ン ッ…

ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガッガッガガッ


「…ッ!」


イかれた山姥の狂楽にドアが呻く音はあまりにも非情な現実に引き戻す。

…クソが!こんな世界で一瞬でもお花畑を夢見た自分を殴りたい。


「は~やーくッ!開ーけーなーさーいーヨー!!

あ け ろ。ア ケ ロ。ア" ケ" ロ" ォ" ォ" ォ" ォ" ォ" !!」


ガンッ !ガンッ !ガン ッ!ガンッ !ガンッ !ガンッ !

ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ッッ!!


あぁぁああ。うっせぇなッ。息子を虐めてそんなに楽しいかよッ!

クソが……ムカつくのに。…今の俺じゃ何も…。何も…?


『…あ』



なぁぁぁぁああー--んッッで!!気付かなかったんだ。スマホで警察呼べば済む話じゃねぇか。

…ハハッ……俺、必死過ぎワ ロ タ…w。…幸いにもスマホは手の届くとこにある。


…カチ…………カチ…………カチ…………カチ…


ドク………ドクッ……ドク…ドクッ…ドク…



「かぁさん…。母さんは俺のことを悪魔だと呼んだけれど。それなら母さんは天使なんだろうね…」


「………あらっ!?…アンタも最期くらいはいい事言うのね♪

…フフッ…フフフ!…ンフフフ…ムフフフフッフフフフッ!」



…ッチ。いつ見てもババァの上機嫌はクソきめぇな。

まぁ…いい。おかげでスマホは手に取れた。あとは…


ポチッ………。



「………ぁ…。……マジか…。」


…ちくしょう。最悪だ。辛うじて手に取れたスマホは充電が切れていた。

ちくしょう…。どうしようもない絶望が落ち武者になった俺をリンチする。


『…ちくしょう…ちくしょう…ちくしょう…ちくしょう…』


もう…無理だ。打つ手がない。お仕舞いだ。……クソ。



「そうよ♪アタシは神に愛され地上に遣わされた て ん し ♪

アンタを地獄に落としてアタシは天国にいくのよぉ~♪」



『……ッチ。』


ムカつくぜ…。いっそのこと決死の覚悟でアイツをぶっ殺すか?

……いや、やめとこう…。俺の命はそんな簡単に捨ててはいけない。



「あぁ、楽しみだわ~♪天国には何があるのかしら♪」



…ぁ ぁ あ ア"。マジきめぇな。クソババァの妄言はいつ聞いても耳障りだ。

これ以上聞いてたら俺の耳が持って逝かれちまう…。早く黙らせないとな…



「……何もないよ」


「あ"?」


「オイ…なんつったお前。」


「……。」


「オイッ!…もっぺん言ってみろ」


「……。」


「何 と かッ 言ッ えッ よッ!」


ギギギィィギギッギィ……ゴン!ゴンッ!ゴンッッ!



…っせぇな。何言ったって何も聞かねぇ癖によく言うよ…。

はぁ、余計なこと言わなきゃよかったな…。めんどくせぇ…。


「オイ!

オイ!オイ!オイ!

オイ!オイ!オイ!オイ!オイ!」


「……。」


それにしても、 本当に何も思い浮かばねぇのか? もう…無理なの…か?

……そんなに俺が悪いのか?………神は、自業自得の死命と見限るのか?。


『…いい加減疲れただろ…もう諦めて楽になろうぜ…。』



………そうだな…………どうせ助かったところでクソみたいな現実は変わらねぇ。

……それなら…………………もう………いっそ……。



『殺されてたまるか』


イ ヤ 、そんなんで諦めきれる思想ならこんなに汚く生きちゃいねぇッ!

少なくとも………クソババァに殺されて死ぬくらいなら今すぐナイフで俺の首を掻っ切ってやるッッ!


…カチ…………………………………………………………カチ…


……無理か。は……ぁ。…せめて…この部屋に凶器になる物があれば良かったのに……。



「あ!?」


「…『あ』ッて何だよ。何?何が言いたい?

言いたいことあるならはっきり言ってみなッ!」



…カチ………………………………カチ…


「……W。」


ドクドクッ………ドク………ドクッドク…



俺はすっかり忘れていた。父さんに呪われた狂気を。ごめんな過去のお前ら…。

視線の先にはだいぶ前に老いたスラックスがあった。…ありがとう過去のお前ら。

……フフッ……。



「オイッ!答えろや」


「……。



…ガ………………………………………………サ…


「…そうゆうとこもあの人に似てるのね。」


……ガササッ……………………ガ………………………………サ…


「………ュルサナイ ユルサナイ  ユルサナイ   ユルサナイ    ユルサナイ」



「………。」


…ガ…………………………サ ッ…………………サ…



「……ッチ………ッチ……ッチ…ッッツァ"!!」



…俺はあの日から父さんの思想に救われ、そして呪われてきた。

あれだけ忘れたかった事を今になって思い出せたのは何故だろうか…。



『……忘れてたまるか。』


……そうだよな……あの時の俺を力いっぱい抱き殺すために…今度こそ…。

いや、今こそ、俺が…俺だけの思想を愛してやるんだ"ッ"ッ"!!



「…。」


…ガ………サ ッ………………ガ………………サ…


「…黙るくらいなら最初から喋んなカス。」


「…………。」


…ガ サ ッ … … ガ サ ガ サ ッ … … ゴ ソ ッ …


「……ッゥヴォォォォォォォオオオオオオオオオイイイイイイイイイイイイッッ」



フフッ…w。こんな状況でも顔真っ赤に狂うバカを見てると…w。

いや、今笑ったらヤバい…w。頭では分かっていても俺の性根がずっとくすぐってくるww


「……っw」


「アンタはいつも いつも いつも いつも いつも イツモぉぉォオ オ″」


ガ サ ガ サ ガ サ ガ サ ガ サ ガ ガ サ ガ サ ガ サ ガ サ ガ サ ガ サ ガ サッッッ



…ンフッww。やっぱw ババァはヒステリックに怒れてる方がお似合いだw

おかげで思い出した。俺は不幸に泣き喚くババァをいつも影で笑っていた親不孝者だw



『クズはクズらしく罪悪感を笑い飛ばせ』



…そうだな…w。何で俺がババァより不幸でいなきゃいけねぇんだ。

俺は俺。ババァはババァ。血で繋がれても心まで縛られる意味はねぇ。


「…ブフッw!!」


「…ぁ?」


「プフフフッwww!フヒヒヒヒヒヒwww

ィヒィッヒーwwwヒヒッヒィーwww

ウハハッwwwエハハハwアハハハwww。」



「オ"ィ…何 笑 っ て ん ダ ァ" ? ク ソ ガ キ」



「カッwwカッwwカwwwwwwケヒャヒャヒャヒャwwww

エヒッwwwへッへッハwwwwンホッヒハハハハwww

グフゲフフフフフwwwアヒィアヒィアヘァwwww」


「……ワ" ラ" ウ" ナ" ッ ッ ッ"!!」


「ゲヒャヒャヒャヒャヒャヒャwwwww

キャへッヒッヒヒwwwwケヒヒヒヒヒヒヒwwwww

ギャハハハハハハハハハハハハハハハwwwww」



あ ぁ、こんなに幸せでこんなに不幸な日が来るなんて。

嬉しくて。楽しくて。オカしすぎて笑い死んじまうよwww


…ポタッ…………………………………………………ポタッ…



「何が……ナ 二 ガ"ッ ッ!! オ カ シ いッッッ!!」


「フフッwww何がおかしいって全てだよw

こんな彼岸花の花畑で呑気に不死蝶を追うなんざ自殺志願者のすることだ」


「あ?」


「アンタは俺をこの独房に閉じ込めたマッドサイエンティストのふりをしてるが、

アンタの口から逃げてく言葉はまるで檻の外に怯えたペットの現実逃避にしか聞こえねぇ」


「は?……………ハッ…w

ホント昔から変わらないわねw。…気色悪い。あーー-ー--ヤダヤダヤダッ

中二病末期の支離滅裂な妄言に付き合ってたらこっちまで頭おかしくなっちゃうわ」


「元々おかしいだろw」


「ア"??

さっきから何?何なの?アタシが怯えてる?…ハッw。冗談は顔だけにして頂戴♪」


「……W。」


「…第一、…そんなにアンタが強いってんならさっさと出てくればいいじゃないッ」


「ンフッ…w」


「その笑い方やめて気持ち悪い…。」


「ンブフフッw」


「あー-キモイキモイキモイキモイキモイキモイキモイッッ!!おえぇぇぇええええぇぇぇ!!!」


「ンフフッ……w」


「…陰湿に笑う暇があるならはよ出てこいクソ陰キャッッ!!」


「…陰キャwwww」


「ほら?来てみなさいよ?どうしたの?アタシが怖いの?可哀想でちゅね♪

……文句あるなら直接かかってこいやぁぁァァァア ア ア"!!!」



「 に " ち ゃ ぁ ぁ あ あ " w w w w w」



……カチ…………カチ…………カチ…………カチ…………カチ…………カチ……


ポタッ……………………ポタッ………ポタッ……………………ポタッ…



「…………はぁ、ホント何でアタシの腹からこんな失敗作が出てきたのかしら」


「…アンタが欠陥品だからだrw」


「あああぁぁぁあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああぁぁぁああああぁぁぁ

なぁぁぁぁああああああんにもっっ!聞こえましぇーーーーーーーーーーーん」


「出たよwww」



……カチ………カチ……………カチ………………カチ…



「はぁ………アンタで遊ぶのもいい加減飽きてきたわ…

………………もぅ………………………終わりにしない?」


「…………。」


「……アンタだってこのまま生きたってお先真っ暗なの……分かってるでしょ?」


「………。」


「だったら、もう…」



「……なぁ、こんなこと一度は考えたことなかったか?」


「……………何?」



「人間が理想を追い求めるだけの生き物なら…

何故、あの世に"地獄"を求めたんだろうかと」


ポタッ…………ポタッ………ポタッ…………ポタッ…



「は?……まだ続けんの?…………。

…いいわ。冥途の土産に答えてあげる」



「……アンタは、便所臭いゴキブリが部屋中に充満しても

ナメクジが全身を這っていても、ウジ虫が皮膚の内側に湧いても

なぁんっっっっっっにもッッ!!不快にならないわけ?」


「…うn」


「そりゃ気にならないでしょうねwwww。

だってアンタ自身がゴキブリでナメクジでウジ虫なんだからwww」


「そうかもな…w」



………カチ…………カチ………………カチ…………………カチ…



「アンタに言ったって無意味だけど。神様はね…天使はね……綺麗好きなの…

だから…生臭くなる前に掃除をするし綺麗で居続けられるために美しさを磨くの…。」


「ふーん、そのわr」


「あの世は神様の住むところ。人間があるべき場所に還る場所…。

…いえ、…私たち堕天使が天使に戻れる神聖な場所。」


「…………」


「本来なら蛇に負けた裏切者はあの世にすら足を踏み入れてはいけない。

でもね。 …神様は底なしに優しいから …悪魔は底なしに可哀想だから…

貴方みたいな救いようがない "悪魔" と "蛇" にさえ更生のチャンスを与えてくれるの」


「…そうかよ。」


「地獄はね…。そんな蛇の誘惑に歪んだ魂を元の形に矯正するための施設。

貴方がどこまで奈落に落ちるか想像もつかないけど。まぁ、せいぜい頑張りなさいww」



………カチ……カチ……カチ………カチ…………カチ……………カチ…



「…潔癖症、裏切者、優しさ、矯正ね…フフッwそりゃあいいww

……アンタの信じる神は本当にアンタそっくりだなwwww」


「は???」


「だってそうだろ?

アンタには俺が汚く見えて、アンタには俺が裏切者に見えて、アンタは "ネ申" ガッ」


「ハァ…もう…いいわ。アタシもどうかしてたわ…

これ以上、汚れた言葉を喋らないで…お願いだから。」


「アンタは信じたい物だけ信じて、見たい物だけ見て、聞きたくない事は無視してきたよなぁ?

アンタの目は耳は口はさぞかし カミ(笑)n」


「 ヤ " メ " テ " ッ " ッ " ッ " " ツ " " " 」


「フフッフフフッ…www」



………カチ…………………………………………カチ…



「…てかアンタの方がよっぽどッッwww

支離滅裂で意味不明なキショい妄言ほざいてんじゃねぇかよwマジウザいわww」


「黙れッッ!!」


「そうかいwww」



………カチ………………カチ………………………カチ…………カチッ



「ッッ……ヴ"ゥゥ”ウガ”ァァ”ァァ”ァァ”ァァ”ァァ”アア”アア”アア”ア”ア”ア”」


ゴ"ンッ!ゴンッ!ゴ"ンッ!ゴンッ!ゴ"ンッ!ゴ"ンッ!ゴンッ!ゴ"ンッ!



ニ チャァwwwニ チャァwwwニ チャァwwwニ チャァwwwww



ハハッwww皮と骨しかない母がいくら殺気込めてこじ開けようとしたって貧血になるだけだw。

ヒヒッ……こんなにもデブで良かったと思えるとは夢にも思わなかった。



「アンタにもう一つ悪い事教えてやんよwww」


「オイ"ッッ!!ダアアアァ↑マアァァ↑ヴェェェェエッ↑」


「アンタは俺が父さん似だっていつも言ってたけどwwww

そりゃそうだわwww俺はww父さんの不倫で生まれた子なんだからよwwww」


「あ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"ぁ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁ"あ"あ"あ"あ"」


「ゲヒャヒャヒャヒャヒャヒャwwwwあひゃひゃヒャヒャヒャwwwwww」


ポタッ……ポタッ………ポタッ……ポタッ……ポタッ……ポタッ……



「ア"ンタのせいで…!ア"ン"タのせいで…。ア"ン"タ"のせいで…ア"ン"タ"の"せ"ィ"デ"…

アンタのせいでアンタのせいでアンタのせいでアンタのせいでアンタのッアンタのッッアンタのッッ

 アアアアア ンンンンンン タタタタタタタタ の せ い で ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ 」



『ワロタwwwwwwwww必死すぎて森生えるわwwwwwwwwwwwwww』



あぁ…w。 何て。 幸 せ 者 な ん だ 俺 は。

数分前までの恐怖を嘘にするかの如く俺の過虐心が逆さまメンタルを絶頂させる。


「クッッッソがァァァァァァァァァァアアアッッッ!!」


“ゴ"ァン"ッ ッ ”!!


「うぉッwwww」


ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ


ババァの全力タックルで真っ暗な部屋に殺したい光が雪崩れ込みババァと勘当のご対面。

せっかくだし煽ってやるかァwwwwwww


「ヤァwwww顔色いいねwwww」


「ッカ"ッッッッッ"べ"ッ"ッ"!!」



「ッ!?」



目と目が合った瞬間にババァは粘着いた臭ぇ唾を俺に吐き捨てやがった。マジ死ねッ…w。



ボタッ……………………………ボタッ…………………………ボタッ……



…フフッ……不思議な気分だ…。汗とよだれと血で気持ち悪いのに。何故か懐かしさと愛おしさまで感じる。



「 ザ マ ァ ミ ロ ォ オ オ オ オ ォ ォ オ オ オ オ ッッッッツ!!!!」



「…ッwwwきたねぇなwwwwwアンタのどこが清い天使だってんだよwwww」



ポタッ……………………ポタッ……………………ポタッ……



「……フフッ…フwフwフwフwフwフwフwフwフwフwフwフwフwフwフッwwwwww

ウフッwウwフwフwフwフwフwフwフwフwフwフwフwフwフwフwフwフwフwフwww…」


「…………ヒヒッヒハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッwwwwww

ウヒヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッwwww…」



………カチ………………………………カチ………………………………カチ………………………………カチ…




………カチ………………………………カチ………………………………カチ………………………………カチ…



………カチ………………………………カチ………………………………カチ………………………………カチ…


………カチ………………………………カチ………………………………カチ………………………………カチ…


………………………………………………………………………カチ………



「フフッ……」


「ヒヒッ……」



………カチ………………カチ………………………カチ…………カチ………



「…そろそろ…限界ね……。」


「……そうだな…。」


「ねぇ…あn」


「……なぁ、覚えてるか?」


「……何?」


「"生 ま れ た 時 に 泣 く の は 最 期 に 笑 う た め"。

アンタが昔よく言っていた綺麗ごとだ」


「………。」


「まぁ聞けや…ババァ……

…俺はこの言葉が大嫌いだったが最期くらいは従ってやんよ」


「今から5秒後に俺はこの青いドアを開ける。

…最期に笑って死にてぇなら死ぬ気で殺しに来い…。」


「………………。」


………ポタッ……ポタッ……


「お互い………最期くらい独りで笑いてぇだろ…?」



「……は…ぁ、それもそうね…w。最期にアンタの船に乗っかるなんて…。

なんて……何て。何て…後味の悪い胸糞エンドなのかしら………フフッ…」



「………………………………」


「分かったわ……」




……ここまで本当に長かった……。

ようやく死のカウントダウンが始まる。




「1」


カ……チッ。


「…もし……。いや」


「2」


カ…………チッ。


「…何でもないわ…。」


「3」


カ………………チッ。


「…最期の親子喧嘩、」


「4」


カ………………………チッ。


「たの死んで逝きましょう…」



ポタッ…



「GO!!!」



『…あの世でも神に殺されてな…』



「死 に 晒 せ ぇ ぇ ぇ え え え……………エ?」



  ガ"   チ"   ッ"   。


…ガ  チ  ッ。


ガ チ ッ。



「……ッッ!!ッテッッッッメェェェェエエエエエ」


ガ" ッ !ガ" ッ !ガ" ッ !ガ" ッ !ガ" ッ !ガ" "ガ" "ガ" ガ" ガ" ガ" ッ"

"ガ "ガ "ッ "ガ "ガ "ガ "ガ "ガ "ッ "ガ "ガ "ガ "ガ "ッ "ガ "ガ "ガ "ッ "ガ

"ガ" "ガ" "ガ" "ガ" "ガ" "ガ" "ガ" "ガ" "ガ" "ガ" "ガ" "ガ" "ガ" "ガ" "ガ" "ガ" "ガ"



… … … カ    チ   ッ … … … 



「……バ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァァ"ァ"ァ"ァ"ア"ア"""ア"ア"ア"ア"ア"ア"ァ"カ"wwwww」


「こッッッッ ン"ッッッッッツ "ノ""ッッ!!

クッッッッソォォォオオガァァァァァァァアアアアキッッッガァァァァァァァアァ!!!」



「プギャァwwwwwww!

ざ っ っ ッ ッ ッ ま ぁ あ ぁ あ あ あ あ あ あ あ wwwwww」



「あああああああァァァァァァァァァァアアアアアあああああああああああああああああああ

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

ああああああああああああああああああああああああああああああああ

あああああああああああああああああああああああ

ああああああああああああああ

ああああああああああああああああああ

あああああああああああああああああああああああああああああ

あああああああああああああああああああああああああああああああああ

あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


"ガ "ガ "ッ "ゴ"ガ" "ゴ" "ガ" "ゴ"ガ" "ガ" "ゴ" "ゴ" "ガ" "ガ" " "ゴ"ゴ"ゴ"ゴ"ゴ"ギッ" "ガ"ガ"ガ"ガ"ガ"



「おっおっおwwwwwオッオッオwwwww」



「ヴ"ァ"ぁ"あ"あ"あ"あ"あ"ああ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ""ぁ"ぁ"ァア"ッッッ」



「アンタwwwww最高だよwwww

この俺が正々堂々戦うわけねぇだろwwww」



「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねシネ

死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねシネ

死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねシ ネ シ ネ シ ネ シ" ネ」



「ホントwwwwwアンタが俺の親で良かったわwwwwwwww」



「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す

殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す

殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す

殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺ス殺ス殺ズ殺ズ殺ズ

殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すコロォォォオススススッッッ!」



これこれwwwwこの声が聞きたかったwwwwいいねぇwwwwwwww

唾は枯れ果て、胃酸が逆流し、思想を壊した。

二度と聞けないマンドラゴラの響鳴wwww



「地獄に落ちろ地獄に落ちろ地獄に落ちろ地獄に堕ちろ地獄に落ちろ地獄に落ちろッッ!

地獄に落ちろ!地獄に落ちろ!地獄に落ちろ!地獄に落ちろ!地獄に落ちろ!地獄に落ちろ!地獄に、地獄に。地獄に。地 獄!地 獄!地 獄!地 獄 ニ 墜 ト" ォ ス 」


「…ンフッwwwフッwwフゥw……フ…ゥ。」



"ガ" "ガ" "ガ" "ガ" "ガ" "ガ" "ガ" "ガ" "ガ" "ガ" "ガ" "ガ" "ガ" "ガ" "ガ" "ガ" "ガ"

ゴ ン ッ ゴ ン ッ ゴ ン ッ ゴ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ッッ!!



「…アンタが俺の気持ちを誰よりも分かってくれたように、

俺も…今のアンタの気持ちが手に取るように分かるぜ…w。」



「あ ぁ " ぁ " ぁ " ぁ " あ " あ あ " あ " あ " あ " あ あ " あ ッ ッ ""!!

う る せ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ あ あ あ ッ ッ ! 」



「だ っ て…w。


そ れ が お や こ (笑) なんだろ?」



「ッ"ッ"ッ"ゴ"ぉ"ぉ"ぉ"お"お"お""ぉ"お"""お"お"

ロ " ヴ " ヴ " ヴ " ヴ " ヴ " ヴ " ヴ " ヴ " ヴ " ヴ " ヴ "

死"ぃ""い"い"い"い"い"い"い"""ヴェぇ"え"え"え"え"エ"エ""エ"""

ゥ"""ぇ" エ ""ヤ""ゥ"ゥ"ゥ""ゥ"ゥ"ゥ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ア""ァ"""!!」




… ガ" チ ャ ッ …




ドアを勢いよく開けた瞬間、殺人鬼は床の血に足を滑らして外の光が追いつけない速度で転んだ。


「……ッッツ!?」


俺はずっと待っていた。

…飢えた虎が檻に入るのを。

俺はずっと知っていた。 俺こそが窮鼠だと…。


「あばよ…。ク ソ バ バ ァ。」



“ ガ ゴ " ォ ン " ッ ッ ” ! !


…ガ…ゴゴン…………ゴロッ………。



カ"…………………………………………チ。



『 窮 鼠、 虎 を 狩 る。』


脳 内 か ら 小 説 の タ イ ト ル コ ー ル が 飛 び 出 す 。


……終わった。


---------------------------------------------------------------------------------------




「………………………………………………………………死ぬか。」




ババァが動かなくなってから……どれだけ経ったんだろうか。



時 計 の 針 は 止 ま っ て い る 。



左 腕 の 痛 み は も う 消 え て い る 。



い つ の 間 に か 雨 音 は 止 ん で い る 。



真 っ 赤 な シ ャ ツ が 固 ま っ て い る 。



…洗いに行くか。



俺 は 何 を し た か っ た の だ ろ う か 。



こ れ で 本 当 に 良 か っ た の だ ろ う か 。



俺 は こ れ か ら ど こ に 行 く の だ ろ う か 。



……分からない。



そ う い え ば …

 あ の 石 は ど こ に あ っ た の だ ろ う か 。


………まぁ、いいか。



  ガ   タ   ッ    。



…………行 き 止 ま り だ。



も う 一 人 の 俺 と 笑 い 、 睨 み 、 泣 き 、 そ し て 見 つ め 合 っ た。



… ぁ …



ぁ … ぁ … ぁ …



ぁ … ぁ ぁ … … ぁ …



 ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" あ" あ あ "あ "あ "あ "あ あ "あ ッ ッ""!!



“ゴ"ァン"ッ ッ ”!!



時刻はおそらく深夜2時。

青白く輝く世界にただ独り、赤黒く朽ち果てたシルエットを叫び殴る。



…俺の影に ぼやけた母の 幸せそうな顔が 浮かび上がった………気がした。



シ"…………ン。



『……俺もババァも…殺したいほど愛していたのかもな…。』



「オれ シ手は…悪くな



【!!!ヴォ"△"$"アァ"♪"×"¥"●"ヴァ%"#"?!!!】


聞 た こt ノ nA ィ 声に遮られ 俺の 記憶は ここで途絶えた。




……パチッ。

気付けば俺は真っ黒な空間にいた。

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死相反のイフ 生面 清過 @namazura_sinka

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