第7話

「お嬢ちゃん、確かに剣のレベルは高いみたいだけどごめんね

女性は魔法使いか僧侶しかダメだよ」


「何その男女差別!」

「今に始まったことでもないだろう」

「そんな……貴族でもないのに……?」


一般市民は決まりが少なくて自由だって聞いていたけど、

それでも性別によってなれる役職に決まりがあるなんて思わなかった。

今度皇太子妃に申し立ててやる。


でも、そんなことを考えている間にもおじさんは早く提出するように促してくる。


「どうする?君の場合、魔法使いになれないレベルではないと思うけど」


確かに、魔法は使えるけど剣の方が得意だわ。

それに私の場合、魔法の使い方が普通の人とちょっと違う。

だからできれば遠慮したかったのだけれど


でも、今はそんなこと言ってる場合じゃないわね。

ここから離れられなければ意味ないもの。


「あーあ…せっかく剣士になるつもりで持ってきたのに」


私はブツブツと小言を言いながら

『剣士』とかいたところに横線を引いて『魔法使い』と書き直した。


そしてそれを受付のおじさんに提出すると、ようやくOKされて書類を受理してもらえたのだった。



「じゃあ、適当に興味のあるクエスト見つけたら、こっちで希望のクエスト教えてね。

人数集まったところで、適当にこっちでチーム作るから」


ギルドで魔法使いとしての登録が終わった私は、おじさんにそう言われて、私はコルクボードの前まで移動した。


だけれども、意外と冒険レベルや職業レベルの下限が定められているのが多くて、

冒険可能レベル0だと参加できそうなものが少なかった。


しかもそこには獲得できる素材、金銭、経験値が記載されていたのだけれど、

やはりレベル0だけあって、経験値の数は少なかったし、行ける村も一つ隣のところばかり。

一足飛びに経験値を稼ぐのは無理そうね。


「近場しかいけなくて、国境方面に行くなら、行き先は『フィリエルト町』のクエストしか選べないわね」


「じゃあほぼ決まりじゃん、この2つのどっちかだよ」


私はウサギにそう言われて2枚のクエスト求人票を見る。

『討伐』と『採集』がひとつずつ。


私はそのうちの一つを選んで、受付の方まで持って行った。





ーーーーーーーーーーーー






私は、ギルドで一通りの手続きを終えると宿に戻り、

討伐のために服を着替えて、一応持ってきた件を腰に掛けると

荷物をまとめて、今回のクエストをするために結成されたメンバーの集合場所に向かうために宿を後にした。


「結局『討伐』にしたのな」


「そりゃそうでしょ!やっぱり冒険家としてはまず腕試ししたいもの!

『木の実採集』より『チュラット5体の討伐』の方が言いに決まってるわ!」


道すがら、愛も変わらず肩に乗せてるウサギのぬいぐるみの言葉に私はガッツポーズをして答えた。

冒険家のパーティーに参加は認められてはいないけれど、

クエストの一環とはいえ『モンスターを討伐して旅をする』という冒険家に近いことをこれからするんだもの。


貴族としての生活しかしたことなかったし、剣も稽古止まりで実践をしたことのない私としては楽しみで仕方がないのです。


まぁ、剣は振るえないんですけど。


「ところで『チュラット』ってなに?」


本来は妖精であるうさぎの人形は、『モンスター』の存在は知っていても、実際になんのモンスターを見たことがないのか、どんなのがいるか知らないらしい。


だから、明確にイメージがしやすいように教えてあげた。

「見たことない?小型犬くらいの大きさのネズミかな、赤い四つ目なの」


「うへ……」


少し精神的ダメージを受けたのか俯き、長い耳を垂らして落ち込んでしまう。

リアルで気持ち悪いのを想像してしまったのでしょう。

その通りなんですけど。


「なんでそんなのを討伐して、他の村に持ってかなきゃいけないのさ」


「確か…チュラット事態は強くはないんだけど、生息地が森の中だから町とかにはいないんですって。

微妙に大きいから、運搬もちょっと大変なんだって」


「運搬?」


「そう、チュラットの『生肉』が欲しいんですって。

だから、チュラットを討伐して、それを持ってくまでがクエスト」


「モンスターの肉なんかどうすんの?」


流石にその質問の答えはわからなかった私は、答えることはなく首を傾げた。

確かによくわからないクエストよね、というか他の村からの討伐自体意味がわからない。

対象の町や村以外はわざわざ討伐頼まなくてもいい気がするけど……


そんなことを考えて、答えが出る前に集合場所にたどり着いたようでした。

集合時間である森の入り口には、何人かの人影があった。


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