2022/12/23 学校

「明日、お前たちはどうするんだ?」

 ぶっきら棒な物言いをする武雄。

「俺と美羽はデートだ。武雄も、だろ?」

「うーん。それなんだが、おれを好きになる要素ってあるか?」

「何自信を失っているんだよ。意外とナイーブだな」

 俺は武雄の背中をバシバシと叩く。

「うーむ」

「だって武雄はみんなの武雄だ。男らしくていいだろ」

「おう。それは自信あるな!」

「だろ?」

 俺は短く返すと、美羽が話しかけてくる。

「え。武雄くんどうしたの?」

「あー。飯田に好かれているのが納得いかないようだ」

「そうなんだ。分からないや。わたし大輝のことしか好きじゃないから」

 聞いた相手が悪かった。

「まあ、俺は美羽が好きだから離さないけどな」

「もう。大輝ったら……!」

「お熱いことで……」

 武雄が渋面を浮かべる。

「何の話?」

 飯田が駆け寄ってくる。

 なんて言うか、悩んでいると武雄が口を開く。

「あー。おれって魅力ある?」

 直接聞いた! さすが武雄。メンタル強いな。

「……うん。あるよ」

「ど、どんな!」

「なんで、今日はがっつくの!?」

 飯田はちょっと引いたように声を荒げる。

「何言ってんだよ。武雄は格好いいだろ!」「そうだ。そうだ!」「火事から助けたのは忘れていないぞ!」

 そう。武雄はその他大勢から好かれるとてもいい奴なんだ。

「大輝。あした、楽しみだね」

「ああ。そうだな」

 武雄から離れ、俺と美羽はコクコクと頷く。

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