2022/12/17 図書館

「テストが終わったのに、また勉強?」

 美羽は不満そうな声を上げる。

 俺は図書館で一人勉強をしようと思っていたが、美羽から連絡があり、図書館にいると伝えると飛んできた。

 美羽は不満そうに俺の横でスマホをいじっている。

 まあ、言葉のない時間も嫌いじゃない。

 微分積分が終わると、次は英語を勉強しだす。

 参考書を片手に英単語をひたすら覚える。

 だが、俺はこの単語を覚えるのが苦手だったりする。

 美羽は隣でゲームを始める。

 勉強を終えた頃、美羽が呟く。

「ずいぶん、集中していたね」

「ああ。お陰で集中してできたよ」

 俺が立ち上がり帰宅しようと歩き出すと、美羽も一緒に歩き出す。

 帰り道、俺は自動車の通りが多い車道側を歩く。美羽は気がついていないのか、俺の横をペタペタと歩く。

「あ。あのコロッケ屋さん。おいしいよ?」

「ん。じゃあ、買って食べるか」

 歩き食べ。

 はしたないと思う人もいるらしいが、俺と美羽は気にしない。

 二つのコロッケを買い、二人して並んで食べながら歩く。

「ホントだ。うまい」

「でしょ? わたしもこんなコロッケ作りたい」

「美羽のコロッケもうまいぞ。また作ってくれ」

 驚いたような顔をする美羽。

 でもすぐにほころんで、笑みを浮かべる。

「うん。ありがと」

「なんで感謝?」

「なんでもないー」

「そっか」

「そうだ」

 美羽は軽く俺の背中を叩くと、一緒に歩き出す。

 クリスマスまであと一週間。

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