2022/12/16 バイトの帰り道

「美羽は可愛いな」

「えへへへ……」

 顔を手で押し、もごもごさせる美羽。

 そんなに嬉しいのか。

 それはそれでいい。

 こんなにも完璧美少女を彼女にできる俺は最高に幸せじゃなかろうか?

 否。

 完璧に幸せだ。

「明日もバイト。頑張ってね!」

「ああ。美羽とお家デートするためにも頑張るさ」

 何ごとも資本が大事なのだ。枯れさせるわけにはいかない。

 美羽のためにも。俺のためにも。

「そういえば、武雄くんと早苗ちゃん、うまくいっているかな?」

 いつも一緒に帰っている武雄は少し遅れて飯田と合流したのだ。

 あの二人、お似合いだと思うのだが、いかんせん武雄が鈍すぎるのだ。

 武雄曰く、かわいい系のお前には分かるまい、とのこと。

 男にかわいいはショックな言葉だった。

 男はやはり格好いいに限る。

 その点、武雄は格好いいと思うんだけどなー。

 まあ、主観だから他の人には分からないだろうけど。

「どうしたの?」

 またたきをすると、美羽が背を折り、上目遣いで俺の顔をのぞき込んでいた。

 可愛い。

「やっぱり美羽は可愛いな」

「もう。もう! 本気で心配したんだから!」

 照れくさそうに言うと前を向いて歩き出す美羽。

 苦笑を浮かべ、その後を追う俺。

 こんな青春もアリだな。

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