2022/12/14 放課後
「あー。暇だなー」
武雄は椅子を揺らし呟く。
「武雄くん。私、赤点じゃなかったよ!」
武雄の背中をバンバンと叩く飯田。
「何言っているんだよ。今日からバイト再開だろ? 俺は一足先に昨日からだけど」
「そうだったな。おれも頑張らねば」
武雄は立ち上がり、鞄を手にする。
「なら、わたしたちもいこう? 早苗ちゃん」
「そうね。私も久々にあのケーキセットを食べたいわ」
美羽と飯田もついてくるらしい。
最初のうちは気恥ずかしさがあったが今では慣れたもの。
「じゃあ、季節限定のケーキをお薦めするよ」
俺がそう言うと美羽が喉を鳴らす。
「季節、限定……!」
どうやら女子二人は限定ものに弱いらしい。
「季節限定のパフェもおいしいぞ」
武雄の追い打ちに、被弾する美羽と飯田。
「そ、そんなのってないよ!」
「どっちかしか選べないの!」
美羽と飯田は世紀末でも見たかのような顔で地面にひれ伏す。
「まあ、またくればいいじゃないか」
「そ、そうだ! おれと半分っこしよう」
武雄が意外な言葉を口にすると、飯田が目を
「ホント!?」
「え。ああ」
二人が照れくさそうに言う。
「悪いが、美羽は俺と半ぶんっこだ」
「さすが大輝。いいこと言う!」
うちの美羽は身を乗り出してくる。
俺の腕にしっかりとホールドすると美羽は一緒に帰ろうとする。
そのあとで武雄と飯田がついてくる。が、距離を少し開けている。
武雄の奴、ちゃんとリードしろって。
「さ、いこ」
美羽はそう言い、俺の手を引く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます