2022/12/11 お散歩とカフェ。

「寒いな」

 吐く息が白い。

 もう冬に近いのか、冷え込む澄んだ空気。

「ふふ」

「どうしたの? 美羽」

 マフラーで暖まる俺たち。

 二人並び歩きながらお散歩をしていた。

 三十分ほどの散歩。体力作りに、と思って歩いているのだが、出不精な俺はなんだか気分が乗らない。

 きっと美羽がいなければすぐに引き返していただろう。

「あ。あそこにカフェがあるよ?」

「よし。入ってみよう」

 そこは個人が経営しているような小さな店だ。恐らく三組くらい入ればぎゅうぎゅうになりそうなカフェ。外装も内装もシンプルな木目調の素敵なカフェ。

 店員さんがゆっくりと近づいてくる。可愛い女子大生くらいの店員さん。

「可愛いカップルさんですね」

「いや、あははは……」

 俺は照れくさくて頭に手を添える。

「あ、あれ?」

 店員さんが意外そうな顔を見せる。

「本当に付き合っているのですか? ラノベだとこういったときは付き合っていないですよね?」

 どうやらラノベ好きな店員さんらしい。

「はい。七ヶ月付き合っています」

「ふふ。うらやましい」

 店員さんはそう呟き、俺たちはオリジナルティーのケーキセットを注文する。

 しばらくしてケーキとオリジナルティーが机に並ぶ。

「はい。あーん」

 美羽は自分のチーズケーキを切り分け、俺の口元に持っていく。

「いや、自分で食べられるし!」

 恥ずかしくなり、そう呟く俺。

「あーん」

 頑固な美羽のことだ。これは曲げられない。

「分かったよ。あー」

 俺が口を開けると躊躇ちゅうちょなく口に入ってくるチーズケーキ。

 ドキドキして味は分からなかった。

「ん。おいしい」

 そう言って同じフォークを使う美羽。

 なんだか気恥ずかしい。

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