2022/12/10 美羽のおうち

「お、お邪魔します……」

 俺は初めて美羽のうちにきた。

 ドキドキと心臓がうるさい。

「今日は家族いないから安心して」

 美羽は朗らかに笑う。

「いや、俺は一応男子だぞ? 少しは警戒心を持て」

「そういう大輝だからこそ、大丈夫なのよ」

 ニコリと笑みを浮かべる美羽。

「どういう意味だ?」

「自分から危ないって言っているのだから、自制できるでしょ?」

 美羽が自分の部屋に案内すると、座布団を勧める。

 俺はお言葉に甘えて座布団に座る。

 なんだか甘い香りはするし、なんだかふわふわするような気持ちが生まれてくる。

「ちょっと待っていてね」

 美羽はそう言い席を立つ。

 失礼とは思いながらも、ぐるりと部屋の中を見渡す。

 ドレッサーやカーテン、ベッド、本棚、机、椅子、タンスがある。みんな淡い水色で統一されている。

 机の上には俺の写真が置いてある。

 それもスマホで撮った写真をわざわざプリントアウトしていたらしい。

「お待たせ」

 その声に反応し、首を正面に戻す。

 美羽はお盆にジュースとコップを二つ持ってきた。

「そんなに気を遣わなくてもいいのに」

「未来のお嫁さんなら当然だ」

 美羽はジュースを注ぐと、俺の隣に寄り添うように座る。

 近い。シャンプーの香りがする。

「ふふ。今日は来てくれてありがと」

「いや、こちらこそ、ありがとう」

 こてんと頭を預けてくる美羽。

 そのポジションをだいぶ気に入ったらしく、そのままスマホを操作する美羽。

 会話も少なくそのままおうちでーとをして過ごした。

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