2022/12/09 武雄の部屋

「おっしゃ――ぁあ――あぁ――っ! 乾杯!」

 武雄が大きな手でグラスを掲げ、乾杯の音頭をとる。

「「乾杯!」」

 俺と飯田もつられてグラスを掲げる。美羽は少し遅れてあげる。

 リンゴジュース片手に、ピザ、ポテチ、ローストチキン、ローストビーフ、ポテトサラダ、シーザーサラダが並んでいる。

「しかし、今回はかなりの接戦だった。おれは赤点をとっていない自信がある」

 武雄が大きく胸を張る。

「そりゃ、あれだけ勉強したんだもの。武雄もいけるっしょ」

 飯田は嬉しそうにポテチをつまむ。

 俺はローストチキンに齧り付く。

「美羽ちゃんと大輝くんはまた上位争いかな?」

 飯田がニタニタした顔でこちらを見やる。

「あー。まあな」

「私はフツー」

 美羽は少し眠そうに目をくしくしと擦りながら、ピザをかじる。

「大輝、サラダも食べること。いい?」

 美羽は俺の健康を心配しているのか、そう訊ねてくる。

 恋人と言うよりは母と子に近しい印象を受ける。

 サラダを受け皿にのせていく美羽。

「お、おう」

「きゃ、美羽ちゃんたら!」

 嬉しそうにする飯田。

「そういう飯田はどうなんだよ?」

「どう、って?」

 俺は武雄を視線で示す。

「おう? おれがどうかしたか?」

 この鈍感っぷり。

「大輝くん、無理は良くないと思うよ」

「そ、そうか。そうだな」

 俺としては良いパスを出したつもりだったがやぶ蛇だったらしい。

 隣でこくりこくりと船をこぐ美羽。

 俺は太ももを貸すとそのまま眠りについた。

 起きたときの美羽の顔が浮かんで笑みを零す俺。

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