2022/12/07 公園
「テストお疲れさま」
今日はテストが終わって美羽と二人、近くの公園で軽く打ち上げをすることになった。
お金のない学生にとって公園は安心してデートできるスポットなのだ。
「ん。お疲れさま」
「美羽は何を飲みたい? やっぱりコーンポタージュ?」
美羽は甘いものが好きだ。加えて今は12月。寒い。
だから暖まる上に甘いものが好きな美羽にはもってこいなのだ。
「ううん。わたし、ココアがいいな」
微妙になさそうなものを選ぶあたり、さすが美羽だ。
公園の前にある自販機を二人で見つめる。
俺の好きな炭酸ジュースはあるが、ココアはない。
「むぅ。ならぽかぽかレモンでいい」
暖まるのを優先したようだ。
ガランゴロンと音を立てて落ちてくるジュース。
暖かいレモンジュースで頬に寄せる美羽。
そんな彼女を見つめて微笑む俺は炭酸ジュースを買う。
「「かんぱい!」」
ペットボトル同士をぶつけ合い、俺はグビッと飲む。
「ふふ。大輝はのんべいになりそうだね」
「そ、そうか?」
「だってビールだって炭酸じゃん」
美羽はグビッとレモンジュースを飲む。
「のんべいになっても、幻滅しない?」
確かに俺の両親はのんべいだ。その血を受け継いでいるのかもしれない。
「そのくらいで嫌いになったりしないよ。わたしをなめないでね」
公園でマフラー一枚を二人で使い、お互いを温め合う。
「テスト、お疲れさま」
「うん。お疲れ様」
まあ、明日と明後日もテストな訳だが。
「じゃあ、明日のテスト、がんばろ」
「うん。大輝と一緒に卒業する」
隣で触れあっている美羽が嬉しそうに頭を寄せてくる。
吐く息は白い。
でも暖かい。
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