2022/12/05 テスト後の教室

「だー。テスト終わったぁー」

 歓喜に震える武雄。

「美羽っちはどう?」

 飯田がさらりとした髪を流し、美羽に……正確には隣に座る武雄の傍までやってくる。

「うん? まあ、簡単だったね」

「「「ええー」」」

 俺を始め、飯田と武雄も驚きの声を上げる。

 あんだけ、勉強会をサボっておいて、なんでそんな感想が出てくるのか……。

「さすが美羽」

「雑に褒めないでよ。大輝」

「いや、完璧超人じゃん。美羽ちゃんは」

 武雄が伸びをし、半目で見やる。

「それが二人でいる時はそんなんでもないんよ」

 俺が涙ながら(芝居)に答えると、飯田が口を開く。

「へぇ~。こんなにクールで才色兼備なのに?」

「ああ。冗談を言ったり、甘えてきたりで大変だ」

 ガタッと音を立てて立ち上がる美羽。

「関係ないじゃん。行くよ、大輝」

「へいへい。じゃあ、あとは若いもんに任せるぞ」

「お、おう!」

 大仰に頷く武雄。

「ま、待って。勉強しない?」

 今日はテスト本番だったが、明日も期末テストは続く。

 確かに他の教科でも赤点はとりたくない。

「そう、だな。よし。このメンバーで自習室に行くか」

「賛成! 明日も、ね?」

 飯田が嬉しそうに飛び跳ねる。

「美羽も、いいよね?」

「……うん」

 美羽には面倒だったか?

 だがそれは杞憂に終わった。

 だってスキップを踏んで自習室に向かうのだから。

 そんな彼女も可愛いもんだ。

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