2022/12/01 通学路

 北海道では雪が降ったらしい今日この頃。

 ここ宮城県は冷えた空気が身に染みる。

「大輝。寒いね」

「ああ。でもこれからが本番だな」

「だよね! わたしもそう思う」

 隣を歩く冬の制服に身を包んだ美羽はにへらと笑う。

「そういえば、早苗さなえちゃんが武雄たけおくんを誘って一緒に遊びたいって」

「それってダブルデートじゃん」

 武雄が早苗――飯田さんに気があるのは知っている。

 でも飯田さんはあまり恋人とかの匂いがない。あんなに可愛いのに。

 それは胸の内にしまい、美羽に尋ねる。

「そういえば飯田さんは好きな人いないのかな?」

「それが、そう言った話になると、逃げるのよ」

「逃げる……?」

 疑問に思った俺が首を傾げる。

「そう。決まってわたしの話とかを持ち出して隠すように逃げるのよ」

「へぇ~。聞かれたらマズいことなのかな?」

 うーん、と指をおとがいに当てて考える美羽。

「その仕草、可愛いな」

「えぇ。そう?」

 褒められてにこりと笑う美羽。

「そうなんだぁ~」

 甘い吐息を漏らし、上目遣いをしてくる美羽。

 心臓がドキドキする。

 血圧が300を超えているんじゃないだろうか。健康に良くない。

 いや、どこかの論文で恋をすると寿命が延びる、って話があった気がする。

 しかし、なぜ飯田早苗さんは隠すのだろうか?

 今日も、一つ疑問が生まれた。

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