5-7 To Take Her Over, ……の裏

◎エピソードタイトルの元ネタ


『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』に登場する楽曲『Take Over』より。「受け継ぐ」と「奪う」のダブルミーニングで2話続きます。今回は「咲子を奪う義花」の裏に「実穂の遺志を継ぐ康信」が重なっていますね。



◎エピソードの狙い


 いよいよ略奪愛展開がクライマックスへ。義花の「岳志さんから奪うんじゃなくて、受け継ぐんだって思ってほしい」という発言の通り、奪う相手だからこそリスペクトを示したいという精神性が描かれます。その結果として岳志への愛着が高まり妻を奪う罪悪感が募ることにも「甘えたこと言ってられない」と甘受するあたりが、義花の覚悟の顕れです。

 ……とはいえ義花にとっては「交渉において情報は一番大事な武器だから」みたいな思考の方が強いかもしれませんが。


 そして、康信にスポットが当たる回でもありました。本作、咲子の離婚に伴う経済的な変化について、具体的な話はあまり出てきません。この辺は僕の知識では全く書けないですし義花も知らないので「大人たちで話をつける」という展開にしたのですが……ズルいといえばズルい構成ではありますかね。産科医療と同じく、下手に書くよりは良かったと思いますが。


 康信パパは「自分の娘と親友の妻が愛し合う」という異様な状況にあっても理性的な対応を続けていますが、その冷静さすら静かな狂気の一環とも言えそうです。実穂が遺した義花のためなら、どんな気の進まない役目だっていくらでも果たす。実穂に注ぐはずだった愛も義花に注いでいるという意味では、咲子の裏側でもあります。


 康信と岳志、二通りの父親像を讃える回でした。それぞれの子供のルーツがより伝わっていたなら嬉しいですね。


 


 

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