5-3 無限の未来を救う道 ……の裏

◎エピソードタイトルの元ネタ


『救急戦隊ゴーゴーファイブ』OPの歌詞より。20年以上ずっと大好きなフレーズです、エピソードタイトルの中で真っ先に決めたかな。産科医師と自衛官という仕事を目指す二人に、とびきり強く響く歌。



◎エピソードの狙い


 まずは義花が産科医を目指す理由について、彼女のロジカルな語り口がこれでもかと披露されます。ちなみに「産科医」ではなく「産婦人科医」に設定していた頃は、この中に「百寧先生みたいになりたい」が入っていました。百寧先生の立ち位置は途中でかなり変わりましたね。


 男性と結婚するか、あるいは母親になるか――という葛藤は百合作品(に限らず女性主人公の作品)でよく描かれますし、それに対して別の道を志向するのもメジャーだとは思いますが。

 ここでの義花ほど「よその親子のために」「育ててくれた故郷のために」を志向する百合キャラ、僕の知る限りでは珍しいのでは……と思っています。義花も仁輔も、大事な個人だけでなく他人、あるいは共同体そのものを守ろうとする若者として強調したかった。


 そして、仁輔への最大級のリスペクトを未来への力にする宣言。「別の道で頑張るよ」からさらに踏み込んだ失恋へのアンサー、アウフヘーベン的に(適当)昇華された友情。義花の「何でもかんでも言語化する」癖が炸裂、仁輔にも直撃します。

 直撃したからこそ、仁輔もやっと本気で本音で言える。前回の平穏な仲直りでもまだ我慢していたのが仁輔です、それだけ我慢強いからここで全部ぶつける。

 振られた側が何でもかんでも言っていい訳ではないですし、求めすぎた側の自制や礼儀も必要だとは思いますが。仁輔から義花には、ここまでぶちまけて良いと思っています。仁輔の「ずっと好きだった」の重さは、これだけ語っていい重さ。RNの希和は優しさに徹しすぎたかな、という思い入れもありました。


 カレママのメイン、仁輔と義花が別々の人生を送ることに納得するまでの話でもあります。別れに納得したからこそ辿り着ける真の友情こそ、何より描きたかった関係性でした。性愛や失恋を乗り越えられた男女だと、作者は自信を持っています。

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