5-2 ヒーロータイムで、あたしと握手 ……の裏
◎エピソードタイトルの元ネタ
ニチアサこと、テレビ朝日の放送枠「スーパーヒーロータイム」より。
加えて、スーパー戦隊のヒーローショーのCM「君たち、○○で僕と握手!」より。特撮要素を強く押し出した仲直り回でした。
◎エピソードの狙い
義花と仁輔が『ペルソナイト双流』鑑賞で感情をシンクロさせつつ、仲直りへと向かっていく回です。
『双流』の元ネタが『仮面ライダーW』であるという話はしましたが、当初は強くストーリーに絡めようとは思っていませんでした、二人の趣味として、ノリのいいオタク会話が描ければいいやというくらい。
ただサブタイトルに特撮要素を配置していくうちに「これだけ引用するならちゃんとストーリーにも絡めよう」と思い直し、やがて『双流』は二人の精神面に大きな影響を及ぼす作品になりました。
義花も仁輔も『双流』は大好きですが、楽しみ方や解釈は違うことも多いです。例えば理屈っぽく語る義花と熱っぽい仁輔……という対比は序盤でも用いました。そして今回は、ソウタ&ヒカルの男女バディへの解釈について、存分に語ってもらいました。
義花の「仁輔とは恋人より友達がいい、あたしも別の方法で一緒に活躍したい」も、仁輔の「義花と恋人になって、彼女を守るために戦いたい」も、子供の頃から抱いていた感情でした。お互いに感じ方が違うことを知りながら、影響しあって変わることも経験しながら、最もすれ違っていた軸にやっと辿り着いた――その過程を、特撮を通してなぞっていく。
今の風潮には合わない、かもしれませんが。僕は仁輔の「好きな女性を、体を張って守りたい」ヒーロー像をしっかり肯定しようと思って書いていました。仁輔に限らず、康信や岳志もそうですね。
義花もそうした男性陣の心情を受け止めて、まっすぐに「守りたいと思ってくれてありがとう」を伝えました。
だからこそ「守ろうとしなくていいし、心配もしなくていい。あたしじゃなくて、みんなを守る大人になってください」というメッセージが本気で響く。ただの「もう守ろうとしなくていい」だけじゃなく、その思いの対象を社会全体へと変えて背中を押す。
また仁輔も、前向きに別れたソウタ&ヒカルに自らを重ねて、義花へ正直に思いを伝えました。これまで以上に深く愛情を語ったうえで、結華梨に告白されて広がった視界で未来を見つめ直す。「義花が好きって気持ちで磨いてきたものは、義花がいなくなったところで消えないから」という着地に納得する。
そして二人で仲直りの握手、美しく爽やかな友情エンド――と見せかけて、さらに長引きます。
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