んじゃ、いち組いち番 沖田くん自己紹…ん?ボヤキ?

  京での生活にも慣れてきた。新選組の青鬼とか言われはじめ、倒幕側には怖いおじさんのイメージで定着してるらしく、血眼になってオジサン沖田を探してるけど、

そんな人いないってば!

そのオジサン沖田は、ちまたの噂では人斬り大好きで、大喜びで沢山の人を血祭に上げているらしい。


でもねぇ、人斬るってことは着物が汚れるんだわ。それもさ、お気にを着てる時に限って客が来る。

あ、客っていうのは倒幕側というか新選組隊士とかの有名人を斬って出世しようとしてる人達のことね。

何でなんだろう、デート中とか今だけはやめて~って思う時に限って来るんだ。

なので着物にはお金をかけられない。古着で充分。


着物が血を吸うとさ、パリパリになって血の臭いが臭くて捨てるしかないのだ。

流行とかファッションセンスとか言ってられない。捨てても未練の残らないものにしないとね。

そう思わない?


斬り結ぶってさ下手すりゃ刀もダメになる。

刀って高いんだよ。新選組は高給取りと思ってるかもしれないけど、そうでもない。すごーーく分かりやすくいうとさ、1ヶ月の給料でも足りないくらいの刀が一晩でダメになることもあるの。

刀は自分持ちだから経費で落としてくれない。ひと月に何振もダメになったら大赤字だ。直せるものは直すけど時間もかかるから間に合わない。


なのでリーズナブルで実用的なものに限るわけだね。

ま、手に合うものとか、こだわりはあるよ。だって命かかってるからね。


時々はボーナスみたいな形で新選組から刀を買う資金を貰えることもあるけど、

そんなんじゃ足りゃしない。そしてイイ刀はお値段に比例するんだよね。


でも良いものかどうか判断できる目利きのセンスも必要で、

無知と知ったら使い物にならない刀売りつけられるからね。

色々大変さ。ふぅ…


刀に着物。こんなに面倒で資金が必要なので前向きに自分から斬るなんてことしたくない。しなくても向こうから来るんだけどね。


消極的な人斬り?なのに、青鬼とか情け容赦ないとかさ好き勝手言い過ぎじゃない?

あ、もちろん出世欲なんかない。新選組にいたら出世ないから~。団体で身分が上がることはあっても、表立って出世できるのは近藤さんと歳さんだけ。武士になりたがってるて言うけど、俺は元々武士なんですけどぉ~。


武士とか出世とか興味ないし。ガシガシ出世したいなら江戸の時に確実に超出世するツテもあったけど、それより恋を取ったんだよなぁ、俺。


そんなこんなで、日々あれこれ色々あるわけよ。ねぇ聞いてくれる?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る