第2話
――オギャーーっ!! ママーーーーっ!!
あたしは心の中で産声を上げた。バブみが、バブみが凄い。語彙力の低下を確認した。了解、ママに甘えます。
あたしは今、幼馴染みの
とまあ、そんな事をしていたら、なんと。
「仕方が無いなぁ。」
なんて苦笑しながら、美由莉が頭を優しく撫でてくれたではないか。もうママだろう、これは。今からでも美由莉の子宮に入っていってもう一度産まれたい。でもそんな事をしたら本当の親子になってしまう。それは嫌だ。あたしは美由莉と清い不純同性交遊をしたいのだから。
これは誰にも言えない事なのだが、あたしには前世の記憶と人格がある。信じてもらえないだろうから言っていないが少し好都合だった。
何しろ前世は男で、今もその感覚は残っている。一般的な一般人だったので恋愛対象は女性であり、あたしは今世でも女性が好きだ。男との恋愛なんて、結局はセックスまで行くのだから嫌だ。正直無理である。入れられるより入れる方が良いのだ。入れる物は無いけど。
一人称だって、昔は『俺』だった。でも女として生きていくのに不便だから矯正して、脳内でも『あたし』を使う様になった。今では自然と口に出せる。
で、何が好都合なのかと言えば、同性との付き合いである。この年頃だと異性同士では恥ずかしがって近寄らない様になる訳で、それが無いと言うのが一つ。更に言えば、仲が良ければ簡単にスキンシップが可能なのだ。これに思い至った幼いあたしは自身の事ながら天才だと思ったね。
しかしあたしは臆病なので、念には念を入れて特別仲の良い友達を作った。それが美由莉だ。家が隣同士で、しかも同い年。この環境を利用しない手は無かった。
私は美由莉に対してプラスの感情を隠す事無く注ぎ続けた。ちょっとした光源氏計画みたいな物だ。出会ったばかりのフラットな状態から真っ直ぐに好きと言う想いを伝え続けていけば、人は絆されるものだ。それは幼ければ幼い程に効果的だ。
最初は打算的な考えで接していたのだが、いつしかあたしは本当に美由莉の事を好きになっていた。ミイラ取りがミイラならぬ、光源氏が幼女化と言った所か。当時は元々幼女だったけど。自己暗示もあるのかもしれないが、とにかく美由莉が可愛いのだから仕方の無い事だ。
普段はクールなのに、あたしがくっつくと照れて顔を背ける。可愛い。たまにお姉さんぶって
あたしの幼馴染みは超可愛いのだ。もう好き過ぎて何しても可愛く見える。今日は過去最高だったかもしれない。
今日は少し攻めて、匂いを嗅いだり、ちょっと強引にその許可をもぎ取ったりした。いきなりは嗅ぐのは駄目って言うから、その隙を突いた。こんな事をしても抱き締め返してくれる上に頭を撫でてくれる母性の高さに脱帽である。思わず赤ん坊になってしまった。君、本当に中学生?
美由莉の匂いが落ち着くって言ったけど、あれは嘘。本当は滅茶苦茶興奮している。男じゃなくて良かった、絶対にバレている所だ。ドーパミンが洪水を起こしてるみたいに頭が酔い痺れる。下半身だって濡れ濡れだしちょっと本当にやばかった所で追撃が。
「誰にでもそんな事言うのは駄目だよ。」
なんて、嫉妬発言である。最高に可愛い。これを言われた時、理性が吹っ飛びそうだった。このままいけない遊びに持ち込みたい。遊ぼうって誘って、それに乗ってくれたんだから押せば行ける。そんな悪魔の囁きを無視出来たあたしは偉い。
あたしは今世での恋愛なんて諦めていた。せめてもの慰めとしていつでも女の子とスキンシップが出来る様にしたかっただけなのだ。でも、今は違う。
あたしは美由莉が好きだ。だから絶対に嫌われたくないし、絶対に他の奴に渡したくない。彼氏が出来たとか言われたら発狂するかも。
だからこそ慎重にならなければいけない。急いては嫌われるだけだ。好きだとアピールしつつ、少しずつ行動をエスカレートさせていく。最終目標は肉体関係まで行って、『これもう付き合ってるよね?』と言った感じでなし崩し的に恋愛まで持って行く。同性だとキスだけでは冗談とか思われそうだからね。あたしは臆病なのだ。その程度で告白など出来はしない。まあ、向こうから言われるのが理想の形だから、その時は当然応えるけど。
まあ、今は未来を夢見るよりも、大切な事がある。美由莉の匂いと体温と柔らかさを存分に味わう事こそ、今出来る最大の事だ。今夜はこの感覚を思い出して楽しむのだ。絶対に脳の奥の奥まで刻み込んでやる。その可愛いご尊顔もだ。
美由莉のおっぱいから顔面を剥がしてその顔を見てみると、滅茶苦茶慈愛に満ちた表情を浮かべていた。天使か、女神か。ママだ。やっぱりママじゃないか。好き。キスしたい。しよ。
「ねえ、もう大丈夫なの……っ!?」
「んん……。駄目かも。」
柔らかい。やらかしてしまったが、開き直ろう。意識を向けさせると言う点ではむしろ良い手だ。そう思う事にしよう。大丈夫、舌とか入れてないし言い訳出来る。大丈夫、大丈夫。もうちょっとくらい大丈夫。
その後、頭を叩かれてやめた。流石に怒らせてしまったみたいだ。それもまた可愛い。
「もう。そういう事は本当に好きな人としかしちゃいけないんだよ。」
頬を赤く染めながら、あたしを叱る。その発言にまたもや隙を見出したあたしの返答は決まっていた。
女の子に生まれ変わったけど幼馴染みの女の子が可愛過ぎてやばい 清水悠生 @haruki_s
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