閑話:イーファの見た景色2
ギルドの自分の部屋の中、ベッドで横になりながら、私はここ最近のことを思い出していました。一人反省会です。
サズ先輩が来てから、私の仕事は大きく変わりました。
元々、増員があれば私は力仕事が増える予定でした。正直、ピーメイ村のギルドの仕事は、役場としてのものが殆どですから。それに加えて、私は『怪力』という神痕をもっています。それを生かして農作業や、土木作業を手伝うのは慣れたものですから。
ところが、まさかの展開。冒険者ギルドとしての仕事が増えそうな気配です。
先輩が来てから十五日くらいの間で、二度も魔物と戦いました。
一度目はブラックボア、二度目はゴブリン。今思い出しても、ちょっと恐くなります。
実をいうと私は、魔物との実戦経験が殆どありません。ピーメイ村周辺は魔物がでないので、まず遭遇することがないのです。
ですから、いきなり戦うことになった時は驚きました。正直、サズ先輩の指示がなければ上手く動けたかわかりません。
サズ先輩は自分は大したことないと言いがちですが、それは違います。事務仕事は的確ですし、戦っているときは頼りになりました。
ブラックボアの時も、私一人で採取に行っていたら、奇襲を受けて怪我をしていたと思います。
コブメイ村での出来事も、いち早くゴウラさん達の問題に気づいていましたし、戦い方は的確でした。
基本的に、私は指示されて動いているだけです。でも、それをいうと「十分すぎるほど働いてるよ」と言ってくれるでしょう。
たしかに私の『怪力』を上手く使えば魔物は倒せます。
でも、先輩の指示に従ってるだけじゃ駄目だと思うのです。
ちょっとした予感があるのです。頻繁に魔物が出現しているので、なにか起きる気がするんです。
その時に、先輩の足手まといにならないようにしなきゃいけません。
頼りない新人でも、できる限りのことをしないといけません。
とりあえず、私は武器を変えることにしました。
物語の女剣士に憧れて長剣を使うなんてこだわりはやめにします。本棚にある小説に出てくる女の子は、皆かっこいい武器を使っていますが、どうも私には向いてない気がするのです。
もっと自分向きの武器を選ぶ必要があるでしょう。
「……私向きの武器かぁ」
なにがいいでしょうか。農具なら扱い慣れてるんですが、魔物相手じゃ辛い気がします。
「よし、相談しましょう」
情けない話ですが、私では決められません。ここはベテラン冒険者に聞くことにしましょう。
戦い方も教わらないとです。迷惑をかけまくってしまいますが、いつかお返しできるように頑張らないと。
「……ふあ……」
色々考えてたら眠くなってきました。早寝早起きは大事です。明日も忙しいから寝てしまいましょう。朝ご飯を作る手伝いもしなきゃいけませんし。
そんな風に、色々と考えていたら、いつものように私はゆっくりと眠りに落ちていったのです。
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