第8話
それからというもの、昼ご飯を一緒に食べたり、校門まで話しながら帰ったり、仲良くしていたけど、自分の気持ちを打ち明ける勇気はなかった。
三年生になりクラスは分かれ、卒業して高校も別々になってしまった。
連絡を取る度胸もなく、彼女の面影を思い出しつつも、なんとなくその日暮らしをしていた。
大学受験に入り、それどころではなくなったので、自宅でずっと勉強に集中していた。
「少し気晴らしでもするか」
暗い部屋に浮かぶ空間レーザーディスプレイで、ドラマチャンネルをアクセスした。
僕はその大画面に映る姿に、目を見張った。
「桂木さん……!」
成長した彼女の姿がそこにあった。すっかり大人の女性になり、あの頃よりもさらに美しさに磨きがかかり、虹色のオーラを画面から発していた。
彼女は女優になっていた、考えてみれば当然と言っていい結果だ。
彼女の笑顔に魅了されたのは、僕だけじゃなかった。多くの人々を惹きつける魅力が備わっていた。
そんな彼女に恋心を抱くなんて……
馬鹿げた幻想だったなと、少し気が楽になった。
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