第2話
人の記憶、ニューラルデータがバックアップできるようになって久しいが、これはカップに封入された麵をすすることで、有名人の過去の記憶を呼び出すことができるものだ。
仕組みは簡単、麵をすする音に反応してカップセンサーが月にあるルナーサーバーへアクセスする。
記憶の保管庫から商品の対象となる記憶データをダウンロード、利用者の耳に付けた全神経感応型デバイス「ピアスフォン」に共有される。
日本ではアーティストの激辛コンサートライブ、グラビアアイドルの濃厚クリーム味などがヒットしている。
記憶のシーンに合わせた、スープと麵が同時に味わえる……束の間の淡い夢体験。
僕のイチオシは人気女優、
オークションで手に入れた、幼少時代の思い出が詰まったレアタイムヌードルだ。
「そろそろ三分経つかな」
カップのフタをそろりと開く。
熱い湯気とともに、野菜の豊潤な香りが食欲をそそる。
カップを片手に、麵を一口すする。
目の前の湯気が広がり、どこかの田園風景へと変化していく……
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