ゴーストライターで文章がおかしい文章が


 ゴーストライター:元の文体をコピー

 おかしい文章の「元の文体」とは何だろう。


※前回(ノベルス)で実施した続きの文章量がちょっと長すぎるように思われたので、続きの量を少なめに。


1.デフォルト

(私の小説はトンと評価されなくなった。評価されていたのに、あのコメントが出て以来だ。)


 そこで気付いた。


 そもそも私自身が間違っていたのだ。


 これはあくまで私が勝手にやっていることであって、他人に押し付けるつもりはなかった。


 いくらでも好きなようにすればよかったのだ。


 なのに、なぜかそれが出来なくなっていた。


 自分で自分を縛っていたのだ。


 それに気付かせてもらって感謝したい。


 そしてまた書きたいと思う。


 もう誰も読まなくても、自分が読んで楽しめればそれで良いのだ。


―――ある少女の日記より抜粋



「……うん?」


 いつものように目覚めるとそこは見知らぬ部屋であった。


(あれ? なんだここ?)


 そう思いながら俺はベッドの上で体を起こす。すると隣には寝息を立てている女の子がいた。

 長い金髪をツインテールにした可愛い子である。年齢は俺と同じぐらいだろうか?……

 えっと誰だっけこの娘(こ)? なんかどこかで見たような気がするんだけど……。


「う~ん……」


彼女が目を覚ましたようだ。彼女は


・・・コメント・・・

 早々に自分の誤りを認めているし、感謝もしている。

 中々謙虚だなと思ったら「ある少女」らしい。一人称が私なのでおかしくはないのだが、おかしい文章を女の子が書いていたとは予想外である。

 また、急に「俺」が登場してきてツインテール金髪少女が登場している。ここもまた異世界なのだろうか。「どこかで見た」っていうのはゲームか小説か……?




2.セリフ優先

(私の小説はトンと評価されなくなった。評価されていたのに、あのコメントが出て以来だ。)


「文章がおかしい文章が」とコメントをくれた人達には感謝している。


 おかげで彼らの作品を読むことが出来たからだ。私も趣味とはいえ、一応プロである以上、自分の書いたものを他の人に読んでもらう機会はあるはずだ。


 だけど、それが出来なくなっていた。


 あれだけあったはずの読者がいなくなってしまった。「文章がおかしい文章が」と言う人はいなくなったし、コメントを送ってくる人もいなくなっていった。

 ただ単に私が気づかなかっただけだったのだ。それでもたまに来ることはあったが、相変わらず私が書いたものよりはるかに拙かった。


 つまり、彼らは趣味として楽しんでいただけで、プロになるつもりはないということなのだ。

「文章がおかしい文章が」と言ったあの人がいた時でも、実はすでに読まれてはいなかったのだ。

 その時はたまたまたまたま偶然読んだ人がいて、たまたまたまたま偶然感想を書いただけだ。


 今更ながら、そういうことに気がつきました。そして、それからというもの、小説を書くモチベーションは落ちていき


・・・コメント・・・

 また感謝している。とはいえ、コメントする人もいなくなり、完全にエタる流れにきている。悲しい。

 しかし相手に対して「拙い」と表現するあたり、主人公のプライドの高さはうまく落とし込めている気はする。




3.地の文優先

(私の小説はトンと評価されなくなった。評価されていたのに、あのコメントが出て以来だ。)


 あの時一体なにが起こったのか?


 私は彼らの小説を読み返した。そして気付いたのだ。

 私が送った一ヶ月前のコメントは、彼らが送ってきたものと同じだということを。つまり、彼らは私と同じことをしていることになる。


 ああ……そういうことなのか。

 

 コメントを送っていた人達は、自分が書いた小説に対してではなくて、自分の書き方について批判していたということに気付いたのである。

 彼らは他人の作品に対しても同じようなコメントを送っているのだ。


 なるほど。それなら仕方がない。

 ただ単に批判するだけじゃなくて、具体的にどこが悪いかを指摘しているところが素晴らしい。実に理に適っている。


 私はそう思った。確かにそうだ。

 私の文章は明らかにおかしかった。言われてみれば、確かに文章としてはおかしなところがあるように思えた。


 しかしそのことに気付かなければ意味はないではないか。

 それに気付くには自分で一度でも実際に書いてみるしかないのではないか。

 たとえ指摘されてもすぐに修正出来るとは限らないし、そもそも指摘してくれる人が居ないかもしれない。とにかく、指摘された


・・・コメント・・・

 的確に指摘の内容を読み解いている。

 具体的かどうかは別として、小説そのものではなく「書き方」に関して批判をしているのだとわかったあたりは成長が見受けられる。

 ただし、後半はうやむやな感じではあるが。

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