第5話

「さあ、ゲームを始めましょう。ベットユアライフ命を賭けて!」

 僕はそろりとカードを手に取って眺めると、ごくりと息を飲んだ。

 スペードのキング、クイーン、ジャック、テン、残り一枚はダイヤのスリー。

 これはチャンスかもしれない。あと一枚目的のカード、『スペードのエース』を引けばロイヤルストレートフラッシュ、最強の役が出来上がる。でも引けなければ、ハイカード――ブタかもしれない。

 オール・オア・ナ全てか、無ッシング。


「ドロー開始。最初は私から。私が交換するのは五枚」

 クラウンはすべてのカードを場に捨てた。

 どういうことだ、何も役ができていないということなのか?

 山札から五枚のカードを引くと、カードを眺めて、ニヤリと自信に満ちた表情を表した。

 すべてを捨てたということは、もうどんな役ができているのか、まったく想像がつかない。ストレート、フラッシュ、フォアカード……でも彼女の微笑みはブラフハッタリかもしれない。


「私が捨てたカードはこれ」

 クラウンは捨てたカードを一枚ずつ、ひらりひらりと裏返した。

 そのカードを見て、僕は愕然とした。すでにスペード、クローバー、ダイヤのエースのスリーカードが完成していた。それなのにすべてのカードを交換?

 しかも……捨てたカードの中に『スペードのエース』がある! つまりこの時点で僕がロイヤルストレートフラッシュを成功させる可能性はなくなってしまった。

 どうする、すべて捨てて、別の役ができることを期待するか? 運よくフルハウスが来る可能性だってあるかもしれない。

 ひょっとして、これはイカサマ? いや、違う。このゲームは……

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