第4話
こんな馬鹿げた話があるだろうか。最初から負けるとわかっている勝負に参加するなんて。
でも待てよ、それならなぜ陸上競技に参加する? ポーカー競技に参加する?
負けると思っているのは、自分の思い込みではないのか?
必ず勝つという覚悟を持って、いままで挑戦してきたことがあったか?
相手のたった一言で負けた気になっていて、いいのか?
「わかった……やってやろう」
「ルールは簡単、チップはなし、五枚のカードを配る。手札の交換、ドローは一回だけ。そして君にハンデをあげよう。私の捨てたカードは公開する」
「捨てたカードを公開する?」
「そう、私の手の内を読むことと、もう使えない役を判断するために」
たしかに相手の捨てたカードがわかれば、麻雀のように次に狙う手が読みやすい。
「ドロップ、ゲームから降りることはできる?」
「その時点であなたの負け、やり直しは効かない。それが生きるということ。ゲームスタートでいいかしら?」
僕がこくりと頷くと、クラウンは手を
空中に浮遊していたカードが彼女の手元に集まってくると、鮮やかな手つきでシャッフルを始めた。
いつの間にか、目の前に木製のシックな円卓が現れ、五枚のカードがスラスラと僕の前に置かれていく。
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