第6話
次の日からは三人の部屋でアルシアを交代で預かり、高僧テロスから聞いた情報を元に、アルシアについて色々教えることを始めました。
聡明で気立てがよく、明るい笑顔の似合う素直な少女に仕立てること。
それ以外にもアトモスは機械工作を教え、ロゴスは秘奥義の呪文を説き、アペルは念動力の操り方を指南しておりました。
しかしそれは自分達の理想を押し付けているということに気づく者は、誰もいませんでした。それでもアルシアは学ぶことがとても楽しく、笑顔を見せると三人はとても喜びました。
ある朝、アルシアはネジ回しの使い方を丁寧に教えてくれるアトモスに問いかけました。
「アトモスさん、あなたはなぜ私にそんなに優しいのですか?」
アトモスは、しばらく考え込むと意を決したように言葉を発しました。
「それはだな、お前が手塩にかけて育てた子供みたいなものだからだ」
「アトモスさんは、私のお父さんみたいですね」
アルシアがクスクスと笑うと、アトモスは顔を赤らめ彼女の両手を強く握りました。
「ああそうだ、君は私の大切な娘だ」
ある昼、アルシアは呪文と文字の書き方を丁寧に教えてくれるロゴスに問いかけました。
「ロゴスさん、あなたはなぜそんなに私に真剣に教えてくれるのですか?」
ロゴスは髭を撫でながら、答えました。
「それはな、お主に自分の魔法を引き継いでほしいからだ」
「ロゴスさんは、私のお師匠さんみたいですね」
「ああそうだ、君は私の大切な跡取りだ」
ある夜、アルシアは気功武術を手取り足取り指南してくれるアペルに問いかけました。
「アペルさん、あなたはなぜ私にそんなに親切なのですか?」
アペルは呼吸を整えると、語り始めました。
「それはね、君が美しいからだよ。傷つかないように、自分の身を守ってほしいから」
「アペルさんは私のお兄さんみたいですね」
「ああそうとも、君は私の大切な宝物だ」
いつしか三人は、自分の家族のような親近感をアルシアに抱くようになっていました。
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