1月1日 11:30 晴れ 気温4度

 ……トーコ


 誰かが私を呼ぶ。神様?


 ――トーコ


 はい?


「トーコ!」


 はっと目覚める、辺りを見回すと……いつものデパートの前。目の前には……お父さん?


「トーコ、やっと起きたか。ぼーっとしてるから、心配したぞ」

「え? 私は停止したのでは」

「停止? それどころかサプラーイズ! 新しいボディに換装したんだよ。自分で確かめてみな」


 自分の体を眺める……。えっ? ホログラムじゃない、手が? 足が? ある? 壁に……さわれる!


「新技術バイオロボティクスを駆使して、等身大自律型ボディを完成させたのさ。これで君は世界を自由に動き回ることができる」


「それでは『おやすみの時間』というのは……」

「ウソ! そのほうが驚くだろうなと思って。おやすみどころか、永遠の命を与えたよ」


 私がお父さんと色々揉めていると、二人の男女がこちらに向かってくるのが見えた。

 女性は男性に支えられ、杖を突いている。


「トモルくん!」

「あれ? 外に出られたんだね。あけましておめでとう。紹介するよ、この間話をした女の子。君にぜひ会わせたくて」


「はじめまして……遠子とおこです」


 差し出された右手を、私は両手で握った。初めて触れる人の素肌……暖かい。


「はじめまして、奇遇ですね、私も同じ名前なの。

 バイオロイドのトーコです。

 みんなの幸せをお手伝いするのが、私のお仕事。

 これからもよろしくね」



 私は今、ペンを握っています。

 初めて書いたトーコの日記。


 これで、お・し・ま・い・!

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トーコの日記 NEURAL OVERLAP @NEURAL_OVERLAP

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