第2話 一ノ瀬さん

翔真君しょうまくん、課題の提出良いかな?」

「えっと…」


 だれだ…?


「一ノいちのせ加奈かなだよ。」

「一ノ瀬さん…ごめんまだ全員の顔覚えてなくって…」

「いいのいいの。それより期限までに出すの翔真君と影山かげやまさんだけだから嬉しいな」

「そっそう? 一ノ瀬さんの一ノ瀬って何かかっこいいね」

「ありがとう。私も○○瀬って好きだから名前も好きなの。七瀬ななせとかね」

「分かる! 他にも◯条院じょういんとか、いずみがつく名前もかっこいいと思うな~」

「うんうん! 翔真君って小説って読む? カッコイイ名前が沢山出てくるよ」

「まじ? ちょっと読んでみよっかなぁ。でもすぐに眠くなってしまうんだ…」

「分かる…だから私は寝る前に読む。寝つきがすごくいいよ」

「そっかぁ最近寝つき悪いし読もっかなぁ。オススメある?」

「おすすめはね…―」


「は? 何で一ノ瀬さんが翔真さんと話してるの…?」


 一ノ瀬さん良い人だなぁ。初めて話すのに優しいし


「翔真さん…放課後ちょっといいかな…」

「ん? いいよ! 影山さん」


 放課後…


「翔真さん! 私と付き合ってくれませんか…?」

「へ?」


 つっ付き合う? ってあの彼氏彼女関係みたいな…?


「えっと、お俺でよければ…」

「良かった!」


(これで翔真さんは私の物だぁ!)


 次の日


「翔真、おはよう!」

「君になってちょっと親近感が増すなぁ。ありがと」

「ちょっと緊張したな…私、人と話すの苦手で…」

「そう? 自然だよ。学校行こ」

「ありがとう」


 あれ? 何で影山さん俺の家知ってんだ?


 昼休み


「翔真君一緒に食べよ?」

「うん良いよ」

「ところで翔真君さっき一ノ瀬さんと何話してたの? 仲いいの?」

「最近おすすめの小説家とか聞いてるんだ。LINEも交換してるね」

「そうなんだ…ちょっと嫉妬しちゃうな。他の女の子とよ…」

「そ、そう?」


 彼女ってこんな感じなのか?


 放課後


「翔真君一緒に帰りたいけどちょっと用事るから先帰ってて?」

「分かった。また明日ね」


 影山さんちょっと変だったな。これも彼女だから普通なのかな?


「キャー! ウッ」


 悲鳴⁉ この声は…一ノ瀬さん⁉


「だっ大丈夫ですか…!」

「翔真君?」


 そこにはお腹から血を出して倒れている一ノ瀬さんと血の付いたハサミを持った影山さんがいた。全く状況が分からない


「いっ一ノ瀬さん⁉ 大丈夫? きゅ、救急車を!」

「翔真君さぁ言ったじゃん! 他の子しゃべらないでって! 言ったじゃん!」

「か、影山さん…?」

「せっかく家にも迎えに行ったしお昼も一緒に食べたのにまだ分かんないの⁉」

「え? 一ノ瀬さんをやったのは影山さんなの…?」

「そうだよ…そうだよ! 翔真君と一ノ瀬さんが仲良かったからね!」

「そ、そんな…」

「ケフッ! しょ、翔真君…」

「一ノ瀬さん⁉ 大丈夫⁉ すぐに救急車呼ぶからね!」

「良いから良いから聞いて…? 私ね試験の時から翔真君が気になってたの

 試験の日に体調が悪いのに気づいて先生たちに事情を一生懸命説明してくれる翔真ッ君が気になったの。昨日ね初めてちゃんと話して好きになちゃったんだ…。」

「え?」

「だからねずっと好きでした…」

「一ノ瀬さん?」


 一ノ瀬さんはそのまま息を引き取った

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