8-5
神の声が聞けない。
その
しかし、
「そうだったんですか……。大変な時期に、申し訳ありませんでした」
俺が頭をさげて応じれば、タイチさんが励ますように笑う。
「何、言ってるんだ。ヨキ君のお役目だって、疎かには決してできない、重要なものだよ」
「それは、重々承知してますが……」
「話がそれてしまったね。今回の相談事は、何度儀式にトライしても、神の声が聞こえない、ということでよかったかな?」
「仰るとおりです」
「ふむ……。場所も手順も、度が過ぎるくらいに、確認したということだね?」
「間違いありません」
「そうだとすると、聖域での作法が、初めから違うのかもしれないね。ヨキ君は、まだ知らないだろうけど、僕たち
目から鱗の回答だった。
俺の取った儀式の方法が、根本的に間違っているのだとすれば、どれだけ手順を見直したところで、一向に正解には近づかない。
「さすがです、タイチさん」
素直に俺は、感謝を述べたのだが、タイチさんの表情は暗いままだ。このときすでに、正しい儀式についての情報を、どうやって得るのかと、考えを巡らせていたのだろう。
「だれか、そっちで補佐官とは会えたかな?」
「……。それがなんとも」
それはたぶん最終手段だ。もっと状況が切羽詰まってからでも、遅くはないだろう。
「ふむ。ちょっと賭けになるが、聖域に案内してくれたという人物に、それとなく聞いてみるのはどうだろ?」
「
これでは気を遣った意味がないと、俺は、訝しげに聞き返す。
「ああ。聖域が一般にも、公開されてるというのに、儀式の方法を、みなが知らないようでは、お話にならない。僕たちが考えてるより、神との交流は、その星では当たり前のもの、なんじゃないかな?」
たしかに。
言われれば、思いあたる節がいくつもある。以前、
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