8-4
それからしばらくして、定期通信の日にちとなった。
前回、ウスク隊長が、
「ワクカナさんじゃなくて、僕で悪いね。ヨキ君、久しぶり」
気さくにしゃべるタイチさんに向かって、俺は、笑顔を見せながら返事する。
「お久しぶりです、タイチさん。珍しいですね」
クシナの
定期の通信は文字どおり、都合のよい日付を、お互いに指定して行うものだ。今日が、師匠が聖域に行く日なのだとしても、これは急な連絡ではないのだから、お役目の順番に、融通を利かせることはたやすいはず。第一、時間帯を夕方にするよう、ウスクさんが言って来たのは、
師匠の身に、何かあったのだろうか?
不安になった俺は、重ねて口を開く。
「師匠は、どうかされたんですか?」
俺が尋ねると、タイチさんは、不思議そうに目を丸くした。
「あれ、知らない? ……そうか、ワクカナさんやウスク君からは、何も聞かされなかったんだな」
それはきっと、慌ただしく通信が切られたときのことを、言っているのだろう。
「何かあったのは、雰囲気から察せられましたが、具体的にどうこうというのは、一切……」
「ふむ、そうか。……う~ん、そうだな。ワクカナさんたちの懸念もわかるけど、僕には、君らに秘密にしておくことのほうが、無駄な心配を、かけるだけのように思えるから、正直に話しちゃうよ。ただ、僕から聞いたということは、内緒にしてくれ。名前を伏せたところで、どうせバレるだろうから意味ないけど、一応ね」
「わかりました」
「ありがと。それで、さっそく本題なんだが、
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