8-2
「いるさ。まだ、正式に結ばれてはいないがな」
マリアのことを念頭に俺が答えれば、一同が興奮して歓声をあげる。
「おお、マジか! どんな子? 写真とかねえの?」
「ない」
クシナに、そのような魔法はなかったはずだ。シイナに尋ねないと、俺も確証は持てないが、たぶん存在してはいないだろう。
「連絡は? 全然、そんなそぶりがお前にねえけど」
束の間、俺は、答えに窮す。
正直なところ、
「最近は全くだな……。向こうは、どうにも忙しいみたいだ。それより、俺の話じゃなくて、
俺は、強引に話題を変えた。そのことについて、異議を唱える者はおらず、
「そうだった、忘れるところだったぜ。
今一度、
「俺かぁ。俺なぁ。……後輩なんだけど、
「いいじゃん。告れよ」
間髪いれずに
「いやいや。告白つっても、接点がないし……」
いくら同じ高校に通っていようとも、学年が異なり、放課後も会わないとなれば、接する機会は確かに少ないだろう。
他人事のように、俺が小さくうなずいていれば、案の定、
「よし、わかった。俺たちが手伝ってやる。なっ、ヨキ」
「ん? 俺もか?」
「当たり
「まあ……そうか」
「期待してるぜ。唯一の彼女持ち」
言って、
「そういう意味でなら、俺たちは、あまり参考にならんぞ。俺とマリアは、古くからの知り合いだ。ずっと、一緒に過ごして来たからな。思いを告げるもなにも、俺たちにしてみれば、二人でいるのが日常だった」
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